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11/1 『PSYCHO−PASS サイコパス3 FIRST INSPECTOR』を読んだ

3期の完結編、大一番の事件であるが前3作とは著者が変わってしまった。が……意外と違和感はない。さすがプロのお仕事ということか。調べてみたら著者は3期よりも前に出たゲームに関わってた人とのことだし、心配は無用だった。
その中でも特に梓澤はマジでそれまでの、吉上亮が書いていた梓澤と一切遜色ないように見えた。シリーズボスだというのに……やはり「普通の人」だからかな。優秀だし非凡だけど、特殊ではない。
ゲームスタート……事件が始まると、あちこちに散らばっていた面々がそれぞれに事態に対処すべく動き出してめまぐるしく場面が変わり、臨場感がある。まさにピタゴラ装置的な、そこかしこでいろんなアクションが起きている感じ。こうして見ると、登場人物全員にちゃんと見せ場を用意していて、作劇大変だったろうなあと感心した。六合塚さんは割を食ってしまったが。
「訓練より苦しい実戦はない」を合言葉に笑い合うパスファインダーたち。部活やってんのかと言いたくなるノリだが、実際青春時代のすべてを戦場で過ごした世代なのかもしれない。慎導家に出会わなかった炯と舞子のような。そういった内面描写がほぼなく、ある意味ほっといたら刑事課そっちのけでガシガシ事態を攻略していきそうな狡噛の足止め役として投入されていた気がしなくもないが、最新作でその辺はちらりとでも窺えたりするのだろうか。
そしてその狡噛、振り返ってみるとこの3期では、なんかこう、ひたすらカラテの化物として駆動し続けてた感じだな……もう武力的にはドミネーターと変わらん。人間暴力装置か。本人の物語におよそ区切りがついてしまってる以上、そして複数の意味でおいそれとは殺せない以上、無理もないが。でも現在の刑事課、とりわけ炯の奮闘を見て、ちょっと未練を覚えているところはよかった。己の生き様は既にはっきり定め、それについてもう迷いはない上で、背を向けた道をひた走る者たちの姿に少しだけ目を引かれる。その荒野の砂漠にあってほのかにしっとりした眼差しこそ、あの男との共通点だったのか。
ビフロストの正体についても明かされたが、結局完全に理解できた気はしない。これまで映像で観、ノベライズで何度も語られたことでなんとなくの概要は掴めた感じはあるが、非常にぼやっとしている。まあそのぼやっと感があるからこそ、シビュラから巧妙に隠れて回りくどく利益追求に邁進できたのかな。
エピローグ。なんか、あらためて見ると「終わった」感がすごい。収まるべきところに収まった感がある。志恩さんも潜在犯じゃなくなってたのか。分析官も辞めちゃうのかな……そして後任が小畑ちゃんだったりして。
灼の父と炯の兄の死の謎や、朱ちゃんの収監の謎は残っているが、逆に言えばそれさえ明かされれば、俺たちの戦いはこれからも続く……!みたいな感じで終わりそう。シビュラも穏当に社会に受け入れられそうだし。なんか、ちょっと落ち着いちゃいそうな気がするが……次の新作劇場版が過去編だけで終わるのか、それとも新たなる局面への呼び水となるのか。

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