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1/25 『フルメタル・パニック! Family』を読んだ

衝撃の『フルメタ』新シリーズ、しかもまさかの家族小説! 宗介とかなめが結婚して子どももできて、それも二子! ほっ……へぇ~、感慨深い。『オーフェン』の第四部を初めて目にした当時の読者たちもこんな気分だったのかしら。俺がオーフェンに触れたのは四部が始まってからだったから、ここまでの感慨は得られなかった。
派手な騒ぎや陰謀が無くても(?……まあ無印長編のそれに比べればの話で)わくわくしながらすいすい読めていけるのは、宗介たちが円熟したゆえか、それとも作者の円熟か、あるいは読者たる自分の円熟か。
宗介とかなめがその後、素敵な家庭を築いて相変わらずトラブルまみれだがそれでもよろしくやっている様が見られただけでも嬉しかったが、かてて加えて、彼らの年齢がアラフォーで自分よりちょっと上だったのも嬉しい。なにせ、初めてフルメタを読んだときは宗介たちとほぼ同じ齢だったのだ。あれから十数年、大人として立派になった彼らの活躍を描く……となって、出てきた「大人の」彼らが自分より年下だったら、ちょっとだけ楽しみ切れなかったかもしれない。ファンタジア文庫35周年企画で生まれた新シリーズだというから、これが40周年企画だったらやばかった。ありがとうファンタジア文庫、今年に35周年を迎えてくれて。
しかしアラフォーとなった宗介、そこまで変化がないとは言え、大人として、そして子を持つ親としての相応の落ち着きを備えるようになっており、なんとも眩しい。そして健康志向。自身のサバイバビリティが、所帯を持ち、真に平和な日常を望むようになったことで、日々の健康第一信念へと変化を遂げたのだろうか。後に明かされたかなめの病のこともあったのだろうが。だがそれでも依然として滲み出る無骨さ、不器用さもあり、微笑ましいことこの上ない。狙ってくる敵は多かれど家族ぐるみでステータス的にカンストしかけているから、安心感も抜群。ダメ押しに新型ASですからね。愉快しかない。
どうやらまだ続刊もあるようだし、今後シリアスが増していくのか、それとも今回みたく短編と長編の間ぐらいのテンションでやっていくのか、どちらも見たくあり、悶々としつつ楽しみ。欲を言うなら、フルメタ世界って確か歴史が一部実際の世界史とはズレていた筈だから、それが20年を経てどのようになったのか、というところも見てみたい。今こちらの世界で起きてるような戦争に突っ込めとは言わないが。今回はASもちょっとしか出なかったので、ほとんど我々の世界と同じようにしか見えなかったし。ただ実を言えば『アナザー』が途中で停まっているから、そちらの話も組み込んで展開されるとちょっと危ない可能性もある。いや、もし本格的にそうなるなら、停まっていた時間を動かすこともやぶさかではない。また彼らの年齢に追いつくまで、追いついても、がっつり付き合ってやろうじゃないか。きっともう地獄とは呼ばれるまい。

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