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6/11 『ぼくらの失格教師』を読んだ

タイトルにもあるとおり、今回は問題あるのは主に教師たちで、生徒らと英治はおおむね良好な関係を築けている。不良も少ない。ろくでもない教師たちを相手取るという意味で、原点回帰といった趣がある。前2作がちょっと突飛に過ぎ、あまりいい評価を得られなかったのだろうか……とか勘繰っちゃう。英治の選んだ道として結構いいと思うんだけどな、悪魔教師。
戦う相手が怠慢な教師たちだけで、スケールは小さいのだが、そのクズ教師の描き方にはわりと新しさがあったように思う。ふてぶてしいというか何というか……特に遠藤という教師など、子どもたちからコケにされて、上司(民間登用校長の矢場さんである。まさか、教育界へ進むとは。人生やってるなあ)からも叱られて、便所掃除を申し付けられても全然やろうとしない。切羽詰まって、同僚の教師を殺す陰謀まで画策するが、もともとが怠慢教師なうえに配下の教師たちも怠慢なので全然うまくいかず、グダって最終的には逃亡。英治の相手としてはショボさ極まれりだが、温厚な子どもたちにとってはよい初戦相手だったか。
全校一斉テストで普段自分たちを抑えつけている教師たちの学力を白日の下に晒し、株を上げる教師も中にはいるものの、結構な人数の「失格教師」をあぶり出してしまって、このままだとさすがに学級崩壊を招くのでは、前作の学校のようにーーと思ったが、あとがきで教師の「教える技術」はテストの成績のみにて培われるもんじゃない、と子どもたちも理解する場面があったので、その心配もいらぬようだ。ただそれはあとがきじゃなくエピローグに書けばよいのではないか。何故あとがきに。大人への申し訳フォローみたいな場面描写で締めるのは信念に反する……ということなのだろうか。だとすれば、俺はまだまだ宗田理を見通せていない。

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