見出し画像

3/31 『チルドレン・オブ・リヴァイアサン 怪物が生まれた日』を読んだ

海から来た怪物による3.11があり、それから11年を経た現代という設定。の割には、成人年齢はまだ20歳のままなのかな。ギデオンには20歳までしか乗れないというのなら、むしろ現実より成人年齢が引き下げられててもよさそうなものだ。それこそ15歳とかになっててもおかしくないくらい、この世界は歪んでしまっているんじゃないか。
ロボットものというよりは青春ものという感じで、そこがちょっと思っていたのと違ったが、3.11を起点に作り上げられた作品だということを知れば、それもそうなるかと納得する。あるいは災害もの、と考えてもよさそうだ。災害に呑み込まれ、災害と一体化してしまった子どもたちの青春劇。だったらやはり成人年齢はそのままでもいいかもしれない。子どもであることが重要で、事実、作中では大人が困難な局面を積極的にどうにかしてくれることはほぼない。主人公は父親との和解も置き去りにして海へと去ってしまうし、レヴへの搭乗限界とも相まって、大人になるということがもうほとんど「死」と同義である。
とはいえ「死」に恐怖したり、ひたすら忌避してるかといえばそうではなく……新八角作品全般に言えることかもだが、「死」に対して、かなりドライに接してる印象を受ける。襲い掛かってきたら抵抗するし、理不尽なそれには憤るけど、すぐ傍にあることは受け入れている。作者の震災体験がそれに関係しているのかどうかまでは、読み取ることはできないが。
「大人になる」ということを「死」と可能な限り接近させた上で、「怪物になる」という選択肢を主人公に選ばせたことの意味、またはその結末は……次巻、か? しかし発売から半年以上経っていてもまだ何の情報も確認できてないことから、既にもう続刊の期待は深海の底なんだけど……まだいずこかの海を泳いでるという可能性を信じて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?