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12/27 『ずっと一年生⁉ トラブル解決大作戦』を読んだ

まずイラストを一目見て「カワイイ」と興味を抱き、次に作者が宗田理だったのを見てマジか? となった。さらにあらすじを読むと、何年も留年しててずっと一年生の女子生徒がいろいろ飛び回って活躍する……とあり、こォんな癖強なものを宗田理が……⁉ と目を疑う。もしや新シリーズ開始なのかと思いきや、2003年に刊行されたものを角川つばさ文庫版として出し直したものだった。しかし『ぼくら』シリーズに負けず劣らぬ、とても良いキャラだ。
お話は短いエピソードを積み重ねていくシンプルな構成で、出てくる生徒たちも『ぼくら』のようなレギュラーメンバーはほとんどいない。が、一話限りの登場人物もみんな元気で活発であり、大変よろしい。いや、令和の時代に復刊したにしちゃちょっとよろしくないのではと思うくらい……老若男女、活きがいい。マミーのつくるお菓子にあっさり籠絡されて追試のヒントを出す教師とか、お寺の本堂を使ってクリスマスパーティーを開きどんちゃん騒ぎする生徒たちとか。しかし、誰も彼もカラッとしているので、勢いとエピソードの短さで結構誤魔化されている。新聞の4コママンガ的な。
でもやっぱ一番魅力的なのはマミーで、この魅力は半分くらいはイラストレーターのYUME先生の手によるところが大きかろう。文章だけだとマミーのイメージは、手製のお菓子や料理で人心掌握してるあたりなんかも相まって、寮母さんとか食堂のおばちゃんみたいな感じなんだが、それがイラストの10代にも20代にも、あるいは30代もなくはない絶妙な塩梅が、他に類を見ない万年一年生というキャラクターを実に魅力的に引き立てていると言えましょう。
最後に学園の若き理事長が現れ、マミーが彼と婚約していることが明らかにされるが、それだけでマミーの正体や実年齢などは結局謎なままだったのも良かった。理事長の婚約者だからって万年一年生でいられるわけじゃないし、卒業したら結婚しなきゃいけないから留年し続けてるとしても、いちども進級できず一年生でい続けてるのはずっと訳わかんなくて面白い。ほんと、可能ならば今からでもシリーズ化してくんないかしら。宗田先生、御年95歳だが今年もまだ『ぼくら』の新作出してるし、その調子で『マミー』シリーズも、ぜひ。

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