2/24 『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』を観た

面白かった。
リアリティラインを自分の中でどこに引くかで楽しめ度が変わってくるシリーズ……だと思ってはいるのだけど、エアタイピングやらダークウェブという単語やらにはムッハハハハと空笑いしつつ、でもハッキング技術面などは全然わからないのでそれなりに緊迫感を感じられるし、警察のサイバー犯罪対策課の室長がIT関係全然駄目っていうのは日本の組織のリアルさとして絶妙だな(ずん飯尾というキャスティングも拍車)と思えば、囮捜査とかはちょっといくら何でもじゃないかとも思うしで、線引きが非常に曖昧だ。いっそのこと全部受け入れて楽しんでしまえばいいのかとも思うが。

殺人鬼・浦野と刑事・加賀谷は「幼い頃に母親から愛情を与えられなかった」という共通点を持つが、逆に言えば共通するのはそこだけであり、ガラス1枚隔てて隣り合ってはいても、交わることも合わさることも実はない。浦野にとって愛と憎しみとは電脳世界における0と1のように世界を切り分けるたった二種類の極点であり、愛無き相手には容赦なく憎しみを以て殺人に替える。半面、加賀谷は憎しみと愛を切り離せず複雑にミックスさせていて、だから恋人がMに狙われたと知ったとき、真っ先に浦野を頼ったりなんかもするのかなとか、そんなことを思った。

あとタイトルの「スマホ落とし」要素、今作においてはまあわかりやすく取って付けたなと……何となく予想はしていたので別にいいけど、もうちょい何か無かったかと思わなくもない。たとえばエンドロール後の次回作匂わせパート、スマホで何らかの操作を終えた浦野が、証拠隠滅でデータを全て消してポイと捨てるのだけど、それを何者かが拾ってあっさり復元して……とかどうよ。どうよと言われてもアレだと思うけど。
ただ、よく考えたら恋人がスマホを落としたおかげで加賀谷と出逢うわけだけど、そのおかげで自分の部屋で警察に侵入されてそれが捕捉されてゆくゆくは今回の事件に巻き込まれるようなことになってるので、ある意味でタイトル通りでいいのかもしれない。ていうか加賀谷の罪結構重いな? でも恋人も加賀谷が殺人鬼と向かい合ってる最中に母親との対峙を迫ったりなど余計なプレッシャー与えたりしてるので、お似合いなのかな。

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