10/5 『実りゆく』を観た

面白かった。
タイタン(芸能事務所)総出映画だからという動機で、あと舞台が長野だからということで、お話の内容には特に期待せずに観に行ったけど、ちゃんとお話の方も面白かった。芸人をやるという夢と実家のリンゴ農家を継ぐという現実の狭間で揺れ動く青年の感情……というあらすじで何となくそんな感じねと察していたわけだが、実際観てみると揺れ動くっていうかもう現実からの農家継げ継げ暴風雨が強すぎてひたすらに堪え忍ぶと言った方が正しい。それだけに、こりゃ本当に継いじゃうんじゃないかとわりとハラハラした。
端々に顔を出すタイタン芸人にニヤニヤしつつも、クライマックスの仕掛けにはあっさり騙されたし、何だかんだ観入ってしまっていたのだろう。何はともあれ人さえ集められりゃそこが舞台で、そして少しでも客をツカんで笑わせられりゃこっちのモノにできるお笑いの力にも震えた。あれだけ神事にご執心だった町の顔役お爺さんの手のひら返しっぷりにも笑っちゃったが。まあ、神事と芸能ってそもそも親和性高いしな。ちゃんと話してりゃ案外すんなり承認してもらえたのではと思いつつ、しかしそのちゃんと言いたいことを言うことが何より大変で難しいんじゃないかって話だし、だからこそ足りない部分は覚悟で示せってことだったわけだし。
お父さんを笑わせたいからという理由で芸人を志したわけだけれど、そのお父さんが笑ったのは息子の〝いい顔〟を見たからだったんじゃないかな。

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