10/23 岩井勇気『僕の人生には事件が起きない』を読んだ

面白かった。
ラジオをふだんから聴いているので、文章もそのときの声と口調で脳内再生され、読むラジオとしてとても面白かった。実際ラジオで話していたことも載っており、それはそれであらためて文章で読むことの楽しさもあった。文章などほとんど書いてきてないとのことだが、それでこれだけ面白く書けるばかりか、話してる様さえ脳に浮かぶというのだからおそろしい。
タイトルの通り、書かれていることはほとんど傍目には大した出来事は起きていないことばかり。それでもこんなに面白いのは、そもそもこの世の中というものが、事件などと派手な動きを起こさずとも、よく観察したり想像したりするだけでじゅうぶんエキサイティングになれるほど、歪んでたりグロテスクだったりするのだろう……などと、なんか上遠野浩平みたいなことを思うのだが、エッセイの中のある一節、「飽き」にまつわる話なんかにそこはかとない上遠野浩平っぽさを感じてしまったりして驚く。以前『ブギーポップ』が大好きだという話をしていたし、そういう人のエッセイが上遠野浩平っぽいとなんか嬉しい。
最後の、相方・澤部にまつわる話は痛快の一言に尽きる。ハライチというのは「無」と「腐り」で出来たコンビであったのか。これはこれで好対照と言えるのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?