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7/14 『戦国の忍び』を読んだ

新刊で出たときに興味を引かれて買ったものの、そのまま積ん読漬けにすること2年余り、ようやく読み始めたのが、くしくも著者の方が時代考証を務める今年の大河ドラマが始まったタイミングだったのは、いかなる奇縁か、単なる怠慢か。でも大河ドラマで忍びの活躍が描かれると、あっここ読んだやつ!と進研ゼミめいて面白さが増すので、いいタイミングだったと思おう。
ニンジャといえば熟練した闇の技能集団で、名のある武将が直々にしかし秘密裏に組織し、幼少期から苛酷な訓練を受け続け心を喪った、人のかたちをした刃の一揃いというイメージ、そこに昨今では古代よりモータルを歴史の裏表から支配してきた半神的存在というものが加わって来ていたが、実際の忍びというのは勿論そんなことはない。どころか近隣の村々から雇われた百姓たちであることさえあったというのは、イメージしてた以上にイメージと実態との差異が大きい。非正規雇用の日雇い労働者……世知辛い。そうしてみると忍び働きというのは、「職」というより「業務」といった趣向がある。暗殺とかも、戦の要となるような武将を殺るとかじゃなく、見回りの兵士や補給部隊とかを少しずつ削って消耗させていくというのも「日々の業務」感に拍車をかける。戦乱の時代、戦が日常となった世界とはそういうものなのだろうか。
忍びが戦においてどのような働きをしてきたのか、実に多くの資料を紹介してくれていて凄かったのだけど、ちょっと豊富過ぎた。情報過多で流し読みになってた部分も正直ある。個別の事例だからあんま関係はないかもだが、時系列や戦場などもあっち行ったりこっち行ったりで激しく、混乱しちゃったりもした。ここら辺は、もっと知識を得てから読み返してみれば、あの戦でこんなことが、この人物と忍びにこんな関係があったのか、とかわかるのだろう。おいおいわかっていけたらと思う。それにしても武将たちってのは、逐一誰がどの戦いで何人の首を獲ったみたいなことに感状というものを出しておられるのだな。大事なことだろうけど、律儀なことだ。

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