2/15 『前田建設ファンタジー営業部』を観た

面白かった。
最初、部下からはドブのクソみたいな目で見られる「空想の格納庫を実際に作るには何がどれくらいかかるか考えてみよう」という企画、何の専門知識もなくロボットアニメ見聞識だけはちょいある身からするとめっちゃ魅力的な発案に思えるので、全然乗り気せず消極的に企画潰そうとする部下たちには若干苛立ちさえ覚えていたけれど、しかし自分がその立場に立たされたらと考えてみれば、まったく興味もないアニメに関するしょうもない思いつきを自身の仕事場に持ち込まれたとしたら、苛つかないでいる自信は無い。
であればこそ、彼らがモチベーションをカチ上げていく過程というのは必要不可欠であったと思えるし、モチベの上昇度と建設という仕事の面白さや実際の作業のインパクトを重ね合わせて見せるのは良かった。上がるきっかけも子どもにとって誇れる自分であること、仕事への熱意を通して芽生える恋愛感情(そして掘削感情)、難題に対して答えを仰ぐばかりでなく自分で考えてみさせ、解決策を導き出せたときの興奮など、様々に用意していて周到だ。
中盤において立ち塞がる難題が、相手がファンタジーであるからこそ出てくる難題であるのも良かった。行き詰まりつつある会社の未来を拓く夢であり希望であるマジンガーZ、しかし災いをもたらすのもまたマジンガーZであった。まさしく神にも悪魔にもなりうる存在。この映画は実際の話、実際にあった企画を基にしたものだそうだが、第1回にこの『マジンガーZ』という作品を選んだことが最初の奇跡にして最大の妙手だったと思う。そんな作品の設定不備により窮地に立たされながら、しかし作品をクライアントとして決して突き放さずどこまでも食い下がってみせるファンタジー営業部の面々には感動した。その後の助力嘆願に応じた各企業のイケメンっぷりも最高。
ただ唯一、終わり方は、なんか、グダっちゃった感あるというか。テイの企画でやっていた筈がいつの間にか本当に空想世界と繋がっていて本当に企画を献じてしまうというある種の不条理オチ、奮闘が実を結び企画として成功する現実的なオチ、現実的に落ち着きつつ最後にチョロっとファンタジーが顔見せする一味乗せオチ(もっといい言い方はないのか)、どのエンディングでも良かったけどそれを順に観せられるのは、ちょっとな。どれか一つに絞ってほしかった。けどまあ、満足。
最後に、というか最初に言おうと思ってたけど観てるうちにすっかり馴染んでしまってとっくに一人前の役者を観てる気分でいたけど……小木さんの演技が素晴らしかった。めちゃめちゃ良かった。

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