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3/4 『Fate/strange Fake⑧』を読んだ

「良いラノベ」とは何か。俺にとって一つの回答は、描かれたシーンに対し「俺ならこうする」というのが浮かんでくるシーンがあるラノベ……それが「良いラノベ」だ。
「俺ならこうする」などと言いつつ実際は読んでいたそれを9割流用し、一番上にパパッとチョイ足しじみて自分好みのエッセンスをふりかけたに過ぎない、いわば他人の妄想を使ってする妄想でしかないんだけど、その是非はともかくとにかくそういうのが勝手に頭に浮かんできて読むのを中断までしてしまう、そんなようなことがあったときは、こりゃ良いラノベだなと思うわけである。
それでいくと今巻は、のっけの戦闘シーンからそういった「中断」が発生したりして、ええなあと思ったのだった。ロード・エルメロイII世のシリーズをまだあんまり追えてない身としては、久々に純粋遠坂凛の活躍を見れたというのもある。あらまあアイアスまで使うようになって(不発だったが)。
大規模レイド戦のボスを張るイシュタル女神。あっちこっちから滅多打ちにされてるというのに全然可哀想という感想が浮かんでこない傲岸ぶりは流石であったが、ただなんだかな、「1話30分まるまるバトルシーンに費やしウルトラハイクオリティ作画で描かれた超神アニメの超神回――のシナリオ」を読んでるような感覚が終始つきまとっていた。どうにも没入しきらず、この一連を30分間の映像で観られたら……あるいは俺の読書速度がオーバーブーストして30分で一冊読み切れてたら、得られる所感は違っていたかも。
一因には場面転換時に逐一場所を表示してることがあった気がする。あれ自体ちょっと脚本ていうか台本みたくなるし、あと、「数十秒前」とか出てくるけど、誰のどの時点から数十秒前?となってあんまよくわからなかった。その上で本文でも回想シーンに入ったり、「遡ること数時間前」とか言ったりするので参る。いっそもう今巻だけでも場所表示の代わりに『24』っぽく時間表示にするとか、『Fate/Zero』のようにタイムリミット形式にするとかのが良かったんじゃないか。……まあこれも「俺ならこうする」か。
あ、あと真アサシン全然モブじゃなかったな。前巻の感想で「見せ場さえ見せない」とか言ったけど、めっちゃ見せてた。えらいやつだった。星4くらいのハサンだった。
次巻もボスラッシュが続きそうな雰囲気を出しつつ、一応主人公マスター(の筈)のアヤカの秘密も明らかになるらしい。どうやら人間じゃないようだけど、この世界のこの状況で人間じゃないこと、もはやちょっとしたバフ程度の認識にしかならなそうだぞ。果たして主人公らしくちゃんとアイデンティティに悩むことはできるのか。

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