12/3 『HUMAN LOST 人間失格』を観た

面白かった。
観る前に予習として太宰治『人間失格』をちゃんと読んでみていたが、読み終える前に観に来てしまった。まあこの後に『人間失格』の残りを読むのも一興。お話的には繋がりは無いし。
けど読んでいた部分だけでも、原作……原案作?……から持ってきたであろう要素やシーンなど随所に見られて楽しめた。序盤の竹一ら暴走族パートは一番元気がよく、勢いだけならこのパートが最高潮で、まるで別作品のよう。福山潤のキマりっぷりも素敵だ。
死にはしないが生きることもできず、健康に倦み続けていただけのただの青年に、文明の崩壊だの再生だのの命運をいきなり握らせるのはあまりにも度が過ぎるというか、物語性のオーバードーズという感じだ。その結果、生と死を幾度も重ねながら、希望を捨てずに戦い続けるヒーローが生まれた。でもその彼は変身する度に自らの生を省み、「恥の多い生涯を送ってきました」と告白する。捨てられないのは絶望も同じだと言うように。

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