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7/25 『祈る神の名を知らず、願う心の形も見えず、それでも月は夜空に昇る。』を読んだ

面白かった。

初めて読む作家。
冒頭に世界の各国とそこが擁する学院の説明がされて、世界観をさっそく構築していくタイプだなと読んでいくと、さらに章の合間合間に登場人物紹介や新たな用語解説などが入ってきてて、構成が面白い。ソシャゲとかでのローディング中に出てくるTIPS的な。ジョジョの単行本での各話の間に挟まるスタンド紹介的な。意外と小説でこういうの見たことなかったな。
そしてそれが更に話の流れと合わさることでこの作品世界の様相がおぼろげに想像できて、最初に6か国6学院を説明しといて舞台は結局1学院からほぼ出ることが無いんだけど、小さくまとまることなく壮大なスケールを感じさせる。情報開示の面白さ。混沌とした世界を言葉によって切り分けるという作品世界のテーマがそのまま読み手の面白さにも繋がっているのか。
敵も初っ端に出てくる雑魚のようなヤツがいきなりループリセット技とか使ってきていて(そして雑魚のように死んで)、なんというか、覚悟を感じた。出せるものをどんどん出していくぞ、という。序盤だからとか1巻目だからとかいう理由で軟弱な敵など出すものか、世界を脅かす敵なのだからマジにエグい敵を出すしそれを正面からブチ破って世界を救ってやる、というような覚悟。実際その後もスケールのアクセルを踏む勢いは緩まず、世界が終りかけたがどうにか地形が変わるだけで済んだ。正直、そのスケールアップのストライドに追随できず若干距離を空けられてはいたのだが、頑張って追いかけたいカリスマ性ときっとまだまだアイデアあるんだろーなという期待感は十二分。続きが読みたい。

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