8/16 『劇場版Fate/stay night [Heaven's Feel] III. spring song』を観た

面白かった。
前日に無料配信されていた2章を観返したこともあり、改めて思うことだけど、2章であれだけ丹念に、士郎と桜の関係の変化、決意と覚悟をまるまる一本使って描いたうえで、最終章その総決算の場に「私も舞台に上がるとしよう」ってできる言峰はもう何なんだ凄いなお前は、と感心してしまった。そりゃあラスボスにもなるよ。過去回想やモノローグもふんだんに盛り込まれるし、今更にして聖杯戦争の全貌が語られたりするし、2章で二人の中心人物の方向性が定まったからとはいえ、まったくおかしな構成をした物語だとも思う。がしかし、そういう過重情報量の中で一際輝くたたひとつのシンプルな思いというものにわりと涙腺を刺激されがちで、士郎がイリヤを見送るシーンには、得も言われぬ感慨が込み上げてきた。奇跡を目撃したかのような。
あと、セイバーオルタとの決着のシーン。原作ゲームではあそこで止めを刺すのに一瞬躊躇するか迷わず行くかの選択肢が出て、俺はそこで悩みに悩んだ結果最後の最後に躊躇ってしまった挙句バッドエンドを迎えた記憶があるので(……つーかあれズルくない? 止めを躊躇うかどうかのところで選択肢を出したら、それはもう躊躇ってるだろ?)、あそこで躊躇しなかった士郎には「ヨシやった!」という思いと「ああァーやった!」という思いが同時に押し寄せてきて、これまた得難い経験と言えた。ゲームの映像化ならではの感慨と言えるだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?