10/23 『劇場版鬼滅の刃 無限列車編』を観た

面白かった。
あらためて観ると、相手の方を向かずにアルカイックなスマイルでまばたき一切せず喋りかけてくる煉獄さんはちょっとコワい。弁当を一口食べるたびに「うまい」と発する様は機械的ですらある。いや、ひょっとしてそれは意図的だったのかな。この無限列車編は、煉獄杏寿郎という男が柱という鬼をばっさばっさと薙ぎ倒す機械じみた底知れぬ存在から、苛烈な意志と熱くて優しい魂と仄かな悲しさを有するひとりの人間へと辿り着く……終着する物語であったのかも。アルカイックなスマイルでまばたき一切せず喋るからわかりにくいが、禰豆子のことを「御屋形様が決めたことだからとやかく言うまい」と、自分はまだ認めていないことを暗に匂わせていた。原作を読んでたときは気づかなかったが。それも最終的には認めていたし、彼もこの戦いの中で変化していたのだな。それは失うことばかりではなかったはずだ。
原作既読派として、猗窩座の声が誰なのかというのがお楽しみ要素の一つで、福山かな?吉野かな?とか予想してたが、見事に外れた。そしてとても良かった。戦闘場面においても、刀と拳が正面から打ち合うという絵面はありそうでなかなか無かったと思うし、ハイクオリティな映像で観るそれは新鮮で面白い。しかも当たったら死ぬのは拳の方なのだ。その不条理さ、あってはならなさはまさに鬼という存在の不条理さ、あってはならなさを体現している。
戦闘の決着は、誰にとってもあまりに苦い終わり方の筈だが、悲しみに沈もうとも前を向き続ける人間たち、だからこそ悲しさと悔しさで涙が止まらないその様は、不思議と見ていられる。いたたまれなくない。応援したいって気持ちになっちゃうよね。

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