2/2 瘤久保慎司『錆喰いビスコ』を読んだ

面白かった。
アツい、激しい、強い、猛々しい、エモい……一言では言い表せられないほどいろいろ要素てんこ盛りだが、言い表してみようとするとどうしてか一言ばかりが飛び出てくるような、大変不思議な熱量に塗れた作品。その中でもひとつ、この作品に固有の特筆すべき一点としては「めちゃめちゃにタフ」というのがあると思う。あちゃーこれは重傷だ……みたいな傷を負おうとも、それで倒れるどころか勢いも減じることなくぶつかっていく。しかも、そんなんが登場キャラクターの殆どなのでとんでもない。いやー死ぬ死ぬ死ぬって、みたいなのや、イヤなんでそれで動いていられんだよ、みたいな負傷も平気で浴びながらそれでも止まらない。地の文でさえ「どうしてまだ動けてるのかわからない」みたいなこと何回か言ってたんだから、そりゃ読んでるこちらにだってわからないわけだ。でもそれが不思議と受け入れられて、人間ってこんなにタフに描いていいんだ、みたいな驚きと発見をもたらしてくれるような始末だった。勢いに押し切られてるだけとも言えるが、しかしその勢いは、なんとも押し切らせてしまえるほどの勢いなのだ。
既に3巻まで続刊が出ており、このテンションがずっと続いてるんだろうかと、半ば戦々恐々としつつ、次巻も楽しみ。

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