10/17 『ジョーカー』を観た

面白かった。
何にもうまくいかないアーサー、なのにジョーカーの扮装に身を包み、タバコを吸いながら歩く姿だけは抜群に様になっている。この姿が完成形で、だからこうなるまでの彼はまったくうまくいかなかった……と考えられてしまってつらい。テレビで叫んだことは言ってみれば通り一遍のありきたりな主張のようなのだが、まさにその通りの経験をしてきていることを我々はどうしようもなく観てきてしまっているから、共感を振り払うことは難しい。
一体何が悪かったのか、どうすれば良かったのかという正解を求めることにおそらく意味はあんまりなく、何故ならやはりこの映画はジョーカーという悪がいかにしてできあがったかを描くものだからだ。どうしたら、何をしなければ良かったか、ではなく、こうしたから、そうはしなかった結果の悪だった。「ジョーカー」という存在においてアーサー・フレックは最適解を出し続けた。それはたとえば支配者を殺すことであり、抑圧に抵抗することであり、今より上等な何かを求めることであった。そこに善悪の判断はない。
これを観るための予習がてらにこないだの台風の最中に『ダークナイト』3部作を観てたりしたが、いろいろと比べられて面白かった。マーベルは完全に乗り過ごしてしまったから、今後続々とDC作品が映画化するらしいし、その波に乗れたらなと思う。

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