5/9 宗田理『ぼくらの修学旅行』を読んだ

来年、『ぼくらの七日間戦争』がアニメ化するというニュースを見てアガってきたので、立ち止まっていたシリーズ再読を再開した。ぼくらシリーズ第7作。角川文庫版。相変わらず面白い。そして宗田理先生、今年で90歳だと……。
しかし一つだけ、時代を感じさせるというべきか、今となっては見逃せなくなっている箇所が。子どもたちがホモいじりをする場面があったのだった。直接言うわけではないが、教師の誰々はホモであると噂して、わいわいはしゃぐシーン。まあ……なんていうか、この年ごろの子どもたちならそりゃ絶対に茶化すだろうなとか、別に「ぼくら」にそういう社会的公正さを担ってほしいわけじゃない、ましてや当時と現代の情勢さえ超えて、とか、こういうシーン見てすぐそういうこと考えるようになっちまってるんだな俺は、とか、思うとこは多い。結論は出しがたい。
気になって、後の児童向け版ではどうなっているのかと見てみたところ、角川つばさ文庫版では、くだんのシーンは「ホモ」を「同性愛者」に替えて、後はほぼそのまま載っていた。うーん替えるとこそこだったか?
もう一つの、ポプラ社版ではどうかと見てみると、こちらは「ロリコン」ということになっていた。おおう……それはそれで、さあ……。
見ていけば見ていくほど、なんとも言いがたくなった。たとえばこれ、教師を最初に茶化しだしたのは日比野だったが、純子やひとみあたりに「そういうのは馬鹿にしちゃ駄目よ」とか言わせる手だってあるんじゃないか、なんて俺は思ったけど、それはそれでやっぱり「ぼくら」っぽくはないのかなあとも思え……ほんとにわからん。
他に印象的だったのは、今巻から登場した、聴覚障害者の佐山。補聴器を取ると何も聞こえず、夜寝るときは真っ暗闇で無音なんだという話を聞いて、菊地がそれはどういう気分なんだろうと想像するシーンが、昔読んだ時に印象残ってたのか、そこだけずっとよく覚えていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?