1/31 『十二人の死にたい子どもたち』を観た

面白かった。
観終えた後で改めて思ったが、お話としては実に奇妙なものだろう。構成も。死にたいと考えた十二人の子どもたちが集まって、死のうとするんだけど、何かいろいろあって、結果、誰も死なずに解散する。何だこれ?という気もわからなくはない。けど、そういう話なのだ。子どもたちが終わろうとするところから始まって、しかしそこで終わることを止めて、踵を返して去っていく。その「瀬戸際」だけを切り取った作品なのだ。十二人の子どもたちにはそれぞれの事情、それぞれの物語があるが、それらはこの「際」において何一つ進展しない。ただ、その上を歩く子どもたちの意思が、この結節点においてそれぞれに変質していくだけ。その後のことも語られない。せめて彼ら彼女らのその道行きに、それぞれの納得があってくれと祈るばかり。
しかし、てっきり、原作からガラッと変えてくるものだと思っていたけど、何ならシチュエーションを原作から持って来ただけで完全に別のお話になっていることさえ予想していたけど、そんなことなくかなり忠実に作られていたのでびっくりだった。変更した点も、成程それならわかる……!という、リスペクトのある変更という感じ。アンリのタバコへの嫌悪をそう持ってくるとは。マイのあのカタルシスとクライシスが大幅に削減されてしまったのは残念だが、まあアレはマンガ的というか、何かそういうものであるし、それはコミカライズの方で超遺憾なく発揮されてるのでいい。あとケンイチ。原作でもコミカライズでも結構好きな奴なんだけど、映画版のケンイチもこれまた好きだった。いいキャラだ。帰った後に出演者のインタビュー記事を漁って読んじゃったし、主演の十二人をみんな好きになれる映画だった。

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