6/15 『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を観た

面白かった。

てっきり、一本で完結してるのかと思ったら3部作の1本目だったらしい。確かに言われてみればめちゃめちゃじっくり進んでいくなあと思っていた。でも原作は未読で、「GGENERATION-F」でお話をざっくり知ってる程度だったので、終盤に来るまであまりピンときてなかった。原作からして3冊分あるのだからそら一本では収まらないか。

戦闘シーンの見ごたえはエグい。MSによる市街戦はこんなにも迷惑だったかと思い知らされる。戦場から離れようとどんなに逃げても、MSがちょっとよろめいたり二歩三歩動いたりするだけですぐに目の前が戦場になる。「戦火が拡大する」ということがこんなにも具体的に映像として見えることがあったろうか。ビームライフルはもうほとんど溶岩を撃ち出してるようなものなんだな。飛沫だけで建物や鉄柱などがドロドロ溶ける様は怖かった。
その一方でペーネロペーとクスィーの戦いにはやはりテンション上がっちゃうので、自分で自分のいる街を襲わせて必死に逃げ惑ってるハサウェイを笑えない。ファンネルミサイル(?)の花火みたいな音とか、新デザインされたクスィーのいかにもニセガンダムな顔とか、テンション上がらせるところはちゃんと上がらせてくれるのでサービスが良い。人間関係の方が全然楽しいものにならないからなあ。

そんな人間関係について。ハサウェイは、意外とやり手なんだよな。ギギとのやり取りも押されてばっかじゃなく、ちゃんと言い返したりもする。ケネスが思っているような奥手でウブな青年ではない。そらまあテロ集団の首魁なんだからそんぐらいでなくては困るんだけど、一方でひどい孤独を抱えていそうではあり、心配さは拭えない。海岸で何もせずじっとうずくまっていたり、ギギに夜の街に誘われても断って疲れて寝ちゃってたりと、何も楽しいことがなさそう……というより楽しいことが思いつけなさそう。1000年先のことを考えてるマフティーの思想を「ヒマな奴」だなんてタクシーのおっちゃんに言われてしまってたけど、むしろヒマだったから……今日明日の自分の身を打ち込めるような何かを思いつけなくて、1000年先のことまで考えなきゃ身体を動かせなかったのではないか。とまあこれは妄想が行き過ぎているが。
ギギは、男二人を手玉に取って、いかにも小悪魔美少女という風体だが、本人もそれを半分くらい意識して小悪魔美少女を演じている感もある。おそらくは生きていくために。ただ完璧に計算の小悪魔美少女でなく、天然と作為が混在していて、大嫌いな親の庇護下にある分100の天然で人を惑わせていたクェスとはそこが違うが、その揺らぎこそがハサウェイを惑わすことになってるのではという気もして、本当厄介な子に遭っちゃったね。
ケネスは、見た目と声と有能さに騙されそうになるが、まあ悪い軍人である。腐敗した連邦軍の中にあっても、適度に女を口説いたり捕虜を虐めたりしてガス抜きをする大人の強さがある。それでもハサウェイとは親しくなっちゃってて、今後もまだそのユウジョウが続くのだろうか。
レーンは……もし本作が『閃光のハサウェイ』じゃなかったら新世紀の最新鋭ガンダムに乗るうら若きエースパイロットとして主人公をやれたんだろうにな。本作が『閃光のハサウェイ』だったばっかりになあ。まあ主人公だったら主人公で「UC2世紀のコウ・ウラキ」とか言われちゃってたかもしれないが。

お話の結末はゲームで知っちゃってるので、本作でひとまず歓喜に沸いたハサウェイ達だがこれからどんどん苦い顔になっていくんだろうなと想像してこちらも苦い顔になってしまうんだが、せっかく30年前の作品を映像化するのだから、30年前の結末とは違った展開を用意してくれても、あるいはよいのではないかとも思う。それがどういったものになるのかはわからないが。原作も読んでみないと、その結末がむべなるものだったかもしれんし。そうした意味で、続きが楽しみ。

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