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4/4 『プラントピア』を読んだ

最初、作者が参加しているソシャゲか何かのノベライズ作品なのかな、と勘違いしていた。そうではなく歌やフィギュアなどとのメディアミックスプロジェクトの一環としての小説作品、ということのようだった。作者の九岡先生はその中での世界設定や物語担当だったとのこと。なるほどだからこんな綺麗でスラっとしたデザインで、植物という穏やかなイメージを纏ったキャラクター達が、動きだしたら暴走機関車みてーにガッツンガッツンバトったりしてたんだな。最初ギャップに戸惑った。
ただ自分で言うのも何だけど、勘違いするのも仕方ないくらい、ソシャゲに適した世界観だった。多彩な種類の花人たち、主人公はたった一人だけ生き残った人間、襲い来る正体不明の機械人形とバトルしつつ、世界と主人公自身の秘密を解き明かしていく……。詳しいことなど何も知らないが、スポンサーがもっとついていればメディアミックス展開の一つにソシャゲも入っていたのではないだろうか。それとも、今後の展望だろうか。ジャンルはダンジョン探索RPGか、それとも学園を守るタワーディフェンス系かな。ガチャは花人ガチャと武器ガチャの2種だろう。
お話も第一部第二部そして終章と骨太――植物だから幹か――に構成されていて良いのだけど、1冊にまとめると少し物足りなくはある……植物だけに枝葉がもう少し欲しい。せめて上下巻、いや欲を言って上中下巻くらいにして、もっと多くの花人、世界探索、滅亡の人類史の奥底を覗いてみたい。人類の天敵として現れた敵性植物が、大戦争の果てにいかにして人間のかたちを手に入れたのか……植物が人間のかたちを奪い取ったと捉えるべきなのか、それとも人間が植物の中に存在の精髄を遺したと考えるべきか。そしてそれに対して人の似せ物たる機械たちは何を思っていたのか……などなどが、見てみたくはあったかな。
読み終えた後にようやく公式サイトで公開されているMVを観たら、これまたコクが増して面白い。短いながらアクションシーンは小説での描写に負けない迫力だし、あと明言されてなかったけどやっぱりクストスはハルの親友に似せて造られてたんだなとか。まだまだ噛めば噛むほど味わえる部分は多かろうし、せっかくのプロジェクトなのだから、もっと広がりを見てみたいものだ。

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