規格と遊び方の関係(ヨーロッパ編)

今回から、私たちの自己紹介が終わりましたので、鉄道模型のことについて、私たち親子が感じたこと、見聞きしたことなどを綴っていこうと思います。

まずは今回、タイトルの通り、「ゲージと遊び方の関係(ヨーロッパ編)」ということで、ヨーロッパにおける鉄道模型の規格とその遊び方についてです。

まず最初に、この投稿での趣旨を書かせていただきます。

ここでお話しするのは「規格」であって、「縮尺」ではありません。

「1/80スケールで16.5mmの線路幅はおかしい!」「HO、Nゲージと名乗っていいのは新幹線だけだ!」等、様々なご意見はあるかとは思いますし、「正しく」はあると思います。

しかしながら、私のスタンスは「12mmにしなきゃいけないところを16.5mmで走らせられるようにした先人たちの知恵に感謝しよう」と言ういい加減なものですので、そう言った「縮尺」の話に触れるつもりは一切ございません。予めご承知おきください。


それでは本題です。

まず、鉄道模型は工業製品ですので、日本の工業製品に付けられている「JIS規格」のようなちゃんと「規格」が存在します。

残念ながら日本には「規格」を管理する非営利団体が存在しないので、日本型は各メーカーが「16.5mmや9mmの線路を走ることができる模型」を独自のシステム、寸法を調整しながら製造しております。

しかし鉄道模型先進国(私と先代が勝手にそう呼んでいるだけですが笑)の西ヨーロッパ、アメリカにはカプラーの大きさや機構、車輪の軸受けの大きさと言ったハード面からDCCのシステムなどソフト面に至るまで、非営利団体が決めた規格に則って製造しております。

読者の皆様はご存じかと思いますが、それぞれ西ヨーロッパでは「NEM」、アメリカでは「NMRA」と呼ばれており、それぞれの団体について詳しいことはWikipediaに記載されているので、ここでは割愛させていただきます。

それでは、その規格が何故今回のテーマである「遊び方」と関係があるのかと言うと、カプラーの品番やDCCのプログラミングなどにおいての規格はよく知られておりますが、実は明文化されていない、言わば「暗黙の了解」に近い基本設計があるようです。

鉄道模型で遊ぶ際に、一番の問題が「スペースの確保」かと思います。

そして遊ぶためにグルグルとエンドレスに車両を走らすために必要なレールにカーブレールがあります。このカーブレールの半径は、ただ闇雲に決められているわけではありません。

実はカーブレールは建物を建てる際に、基準となる「大きさ」に合わせて半径が決められています。

読者の皆様はホームセンターでべニア板をご覧になられたことが一度はあるかと思います。

あの何の変哲もない板も、建物を建てる際の基準となる大きさに合わせて作られています。

その大きさの中で、鉄道模型が基準としている大きさが「3×6 feet(以下サブロクベニア)」と「4×8 feet(以下ヨンパチベニア)」のべニア板です。メートル法に直すとおおよそ「900×1200mm」と「1200×2400mm」ですね。

イマイチ「mm」で言われてもピンと来ませんが、家具の大きさで言い表すとサブロクベニアが「4人用食卓テーブル」、ヨンパチベニアが「セミダブルベッド」とほぼ同じ大きさとなり、この上にエンドレスを敷くことができるように設計されています。

さて、ここで今回の投稿のサブタイトルは「ヨーロッパ編」ですので、ここからは先代が20年ほど前にドイツのニュルンベルクで毎年開催されております国際見本市で、メルクリン社傘下のトリックスの担当者から実際に聞いた話です。

その担当者曰く、メルクリン社を初めとしたレールを製造しているメーカー達のカーブレールは「セミダブルのベッドの上に、HOゲージの複線エンドレスを敷ける」ように製造しているそうです。(何故、単線ではなく複線なのかはわからずですが・・・)

そうなると、外線のカーブの外側から測った直径が1200mm以下になるようにしなければいけません。

また、その1つ下の規格であるサブロクベニア(幅が900mm)でも単線でエンドレスを敷けるようにするとなると、HOゲージの車両限界の関係で、最小の直径は720mm(半径360mm)となるわけです。(この半径のカーブレールはよく「R1」とカタログに記載されています)

更にその最小の直径から、すれ違いをする際に車両が接触しない感覚を保てるように割り出した、一回り大きなカーブの直径は860mm(半径430mm)となります。

また、複線で敷く以上、外側と内側を繋げる渡り線が必要になる訳ですが、直線にポイントレールを入れてしまうと、有効長が短くなってしまうので、ポイントレールをカーブにずらせるように、ヨーロッパのレールにはカーブポイントがラインナップされています。

以上のことから、よくニトリなどで見かける家具を置くために必要な限られたスペースにレールを敷くことを前提とした造りになっている訳です。

ではなぜその基準が「HOゲージ」なのか。

これは憶測ではありますが、それはHOゲージが一番最初に普及した、家庭で楽しめる最小の鉄道模型であったからだと考えます。(鉄道模型そのものの歴史はWikipediaに詳しく記載されていますので、こちらもここでは割愛させていただきます)

以上、規格と遊び方の関係(ヨーロッパ編)でした。

次回はアメリカ編、最後には巷でよく聞く「家が狭いからHOゲージは大きすぎる問題」について、先代と私の考察を投稿していきたいと思います。



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