鉄道模型の市場について

今回は「鉄道模型の市場について」をテーマに綴っていきます。

まず前提として、鉄道模型の市場について、市場規模がかなりニッチなものとなる為、公的機関が綿密に統計を取ったデータはこれまで存在していないと思われます。(恐らく今後も出てくることはないでしょう)

日本国内の市場については、矢野研究所というマーケティングリサーチ会社が2015年に取った調査がネットに公開されておりますが、大手企業のみを取り扱っていることから、大まかな全体像は把握できるものの、ユーザーの深度(ライトユーザーとヘヴィーユーザーの数と比率)、年齢層の分布、ゲージごとの単価を加味した年齢層、ユーザーのタイプごとの購買意欲とその割合、外国型の扱いなど、ニッチな市場故、「何をもって国内市場と呼べるか」までは出せていないように思われます。

詳しくは下記リンクをご参照ください。
鉄道模型市場の実態と展望 | Xビジネス - クールジャパンなマーケティングポータル (xbusiness.jp)

と言うことで、今回もまた、私たちの想像を出ない域の話にはなってしまいますが、「世界における日本型」の一つのヒントを探るための足掛かりにするには、十分なネタであるかと感じております。

さて、先述の国内市場の全体像はある程度わかるとしても、私たちは海外輸出をしている訳ですから、それならば「世界市場」はどうなのか、と言う視点で話を進めていきます。

ここからは先代が約20年前にニュルンベルクのトイメッセで、木や草、鉄橋などのレイアウト用品で有名なNoch社の担当者から聞いた「どんぶり勘定の世界市場」の話です。

まず、世界市場において、その50%は西ヨーロッパと言われています。
その西ヨーロッパにおいても、ドイツ、スイス、オーストリア、ベネルクス3国、フランス、イタリアの順番になっていたそうです。
その世界の半分を占める西ヨーロッパの市場の中でも、そのまた半分、つまり世界の25%はドイツが有しているそうです。
更にそのまた半分、つまり、世界の12.5%はメルクリンが有しているとのことでした。
メルクリンのネームバリューと底力、恐るべしですね。

余談ではありますが、eBayでメルクリンを数台売ったことがありますが、ブラジルやペルーなど南米からも買いが入ったことがあり、2回の倒産を経ながらも世界的なネームバリューの強さは、そこでもまざまざと見せつけられました。

話を戻しまして、西ヨーロッパの市場の残りの半分、つまり世界の25%は、先述のドイツ以外の国が占めているそうで、スイスが約8%、オーストリアが約5%、ベネルクス3国で約4%、フランスで約2%、イタリアで約1%という分布図だそうです。

この数字も、先述の通り、「ドイツ型を買うイタリア人」や「フランス型を買うオランダ人」などの非自国型を買うユーザーや、メルクリンのイタリア型、ロコのフランス型等、非自国型の商品も含まれているはずなので、どの切り口での話なのかまではわからないので、「そんな世界もあるんだな」程度に聞き流していただければ幸いです。

それでは、残りの50%の話です。

その残りの50%のうちの半分、つまり非西ヨーロッパの国々の内、世界の25%はアメリカ、カナダの北米が占めているそうです。

アメリカ、カナダ国内でも、ヨーロッパ型を愛好するユーザーも一定数おり、「ヨーロッパ型専門店」なるお店も数多くあるので、何をもって「北米市場」と呼ぶかは怪しいところではありますが、アメリカは自国型がプラスチックだけではなく、ダイキャスト、ブラス製品それぞれがしっかりと根付いていますし、カナダにおいてもアメリカと地続きなので、アメリカ型が主な趣味の対象になっていると聞いております。

それでは最後の25%はどこかと言うと「上記の国以外」、簡単に言えば「その他」になります。
勿論、まだ名前が挙がっていない日本も含まれますが、おおよその割合としては4~5%くらいはあるのではないか、という見込みだそうです。

日本は前の投稿でお話しした通り、ブルトレブーム以降、爆発的に鉄道模型のユーザーの裾野が広がっていったことで、歴史は浅いながらJR、私鉄含めた総車両数に対して、製品化できるメーカーの数が多いのは事実でしょう。

この数字は約20年前の話ですので、今の勢力図は大きく変わっていると思います。

事実、それまで見向きもされていなかったポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーなどの「東欧型」が近年ヨーロッパでは次々と製品化されていますし、趣味人口も東欧で目覚ましく増えてきていると聞いています。
逆に、西ヨーロッパのメーカー達が吸収合併、はたまた身売りなどの話が10年程前からよく聞くようになったので、市場規模としては縮む傾向にあるのが伺えます。

北米市場も、大型蒸気、貨物、3軸台車の旧型客車が主でしたが、近年「カナダ型」を作るメーカーが出てきたり、アメリカ型では「Named Train Series」と銘打った日本のNゲージのような特定の列車の編成を売り出したりと、市場の内実が従来のものと大きく変わっているようです。

その大きなうねりの中で、今まで鉄道大国でありながらも「未開の地」であった日本型が大きな風穴を開ける可能性を秘めているに違いないと私たちは考えております。

以上、今回の話題はこれで終わりです。

次からは日本型の車両カテゴリーごとに、海外在住の日本型ファンにどう映っているかを、eBayやFacebookを通して感じたことをお話しできればと思っております。

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