稽古場レポート⑩
MODEファンのみなさま、こんにちは
今回はじめて参加させていただく鹿又隆志(かのまた たかし)と申します。
所属は劇団遊戯(活動休止中)です。参加の経緯はこちらに少し書きました。
稽古場日誌が回ってきました。
とにかくMODEの、松本修さんの稽古スタイルは驚きの連続です。オーディションでそれを初体験しました。
松本さん自身、談話などでよく語っておられ、ネタバレにはならないでしょうから少し記しますと。。
まず今回、台本がなく(これが松本さんの基本スタイルのようです)、ブルーノ・シュルツの風変わりな短編集を原作とします。短編同士の中身は、ゆるいつながりを持っています。
それを役者数名のチームが、コレのココをやろう、という風に、アイディアを出し合ってエチュード的に短いスケッチを作り、それを松本さんが見て手を加えます(この調整がスゴイです)。
私はたとえば「役者は演出するな」とか、「人の演技に注文をつけるな、やりづらければ自分のほうを工夫しろ」などと、こっぴどく言われて育った世代です。
お互いにアレコレ言い合う稽古場はそれとは違って、当初は戸惑いも大きかったのですが、
プラマイを考えれば、俳優の自発性・能動性を育てたり稽古場を活性化する点で、「プラ」のほうが、はるかに大きいと思うんです。
松本さんの教え子だった若い人たちが、この手法にシャーシャーと対応しているのは感動的で、
大げさかもしれませんが、演劇の未来のようなものを感じますよ。
それに、どんなに優れた作家や演出家でも、毎回同じ人が一人で全部考えているとマンネリ化することがありませんか? そういう問題も、うまく回避できます。
何より、演劇本来のダイナミズムのようなものが、削がれる過程を経ずに済みます。
一般の演劇の作り方では、作者が脚本という文字に閉じ込めたモノを現場で解凍・復元する作業、
果物ジュースでいえば「濃縮還元」のような行為が必要ですが、
MODEの劇作法では、その工程が省かれて「ストレート」(生モノ)なのですね。保存料も要らない。
私はジュースは断然ストレートを愛します。だって、美味しいですから😋
・・長々と書いてしまって、すみません。
松本演出は、(多数の演劇賞を受賞されているとはいえ)日本の演劇界で、もっともっと注目されていい。演出家向けに、この演出法を伝授するワークショップがあってもよいのでは?と思います。
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そんなわけで私の担当回は初日の9日前、スタッフさんも来られての初の粗通しとなりました。
どんな上演になるか全く分からなかったのが、少しだけ見えました。
芝居の面白さって何だろう、面白い演技って何だろう、
そんな、芝居を始めた当初に問うていたような問いを、改めて自分に問いかけるような、
そんな稽古をもう少し続けてまいります。
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