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盤上の神様

おじいちゃんは囲碁が趣味で、脚付きの立派な盤を持っていた。幼稚園ぐらいの私に、それは机としてちょうどよく、お絵かきしたり、みかん剥いて食べたり、安らげて楽しい場所だった。
大人になって、なぜか将棋を始めたときに、先生に「盤の上には神様がいるから、物を置いてはいけません」と言われて、驚いたけれど、そうだよな、とも思った。マナーとしては当たり前だ。
それでも盤上の神様を差し置いて、遊ぶ孫を大事にしてくれたおじいちゃんの愛を、甘やかしを本当にありがたく思う。
将棋は色々あるけど、やっぱり人が指すので、メンタルの戦いでもある。
私は特に顕著で、大会でも前半二局負けたら後半戦も勝てない。勝ちにこだわりすぎて意地が始まる。
羽生さんの永世七冠をかけての戦い。最終局はちゃんと見ていないから、何とも言えないけれど、渡辺竜王、もう前竜王だけれど、彼の中にも、0.000001ミクロンぐらい永世七冠の誕生を見てみたい気持ちがあったんじゃないかと思う。阻み切れない気持ちというか。
別に手を抜いたとかでなく、誰も到達したことがない高みに行く人を止められない、というか。
あと、世間が、たぶん身内の将棋連盟ですら、自分の負けをどこか期待している中で指すこと、仕事や日常とはいえ、私は偉いな、と思う。
去年のごたごたも含めた上で。
盤上の神様の厳しさ、を感じる。
#将棋 #羽生 #永世七冠 #囲碁

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