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ニンに合う

仁と書いてニンと読むらしいけれど、誰かの劇評で見たのだと思う。ニンに合う、という言葉は、役柄がその人にぴたっと合うさまを言うのだそうだ。
3月に猿之助さんの弁天小僧を見てから、ずっとそのことを考えている。猿之助さんの動くさまを見たくて、あのキセル片手にくだ巻く弁天小僧も見なくちゃ!と駆けつけたのだけれど、なんだかいつもほど高揚しなかった。猿之助さんの舞が好きで、踊らないからかな、という気もするけれど、こんなことは初めてで、なんでだろう…と思ってハッと気づいた。
ニンに合う、合わないってこういうことか!って。猿之助さんの技術力はピカイチで、だからこそ弁天小僧をやると巧みすぎて、ちょっとイヤミっぽいのだ。むしろ、お供役の四十八のほうが、口が達者で詐欺の取り回し、というところで合うような気がする。
私はフラダンスをしているけれど、フラにもニンが合う踊りがあるような気がする。明るい曲とか、バラードとか、アップテンポのチャーミングな曲とか。大勢がいっしょに踊るので、音楽のタイプによって目を惹く人が違う。
神々しかったり、可憐だったり、色っぽかったり。
その人の意外な部分もいかにもな面も見えて、より心動かされる。
ニンに合うときの美しさと魅力は格別だ。
私の踊りはどうなんだろう。なりたい自分とはちょっと違うかもしれないけれど、それでもニンに合うものを求めて、踊りたい。 #歌舞伎 #フラダンス

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