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見たものつれづれ帖

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お芝居、歌舞伎、映画に将棋。たまに日常。まれにおいしいもの。心が動いたものの覚えがき。
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#中村勘九郎

10年ぶりの天日坊

10年ぶりの天日坊

座席に座って幕が開くまで、すっかり忘れていた。天日坊ってどんな話だっけ?
10年ぶりの再演と聞いていたけれど、そもそも10年前の私はどんな毎日を過ごしていたのだろう、それすらもちょっとあやふやで。どこの部署にいて、どんな思いで、誰と仲良くしていたのか。ぼんやりと曖昧なのに、ただ前に見たときの鮮やかな幕切れと、主人公のラストの絶叫だけがはっきりと心に残っていた。

「俺は誰なんだ??」

前に見たと

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ただそこにいるすごさ

ただそこにいるすごさ

10月からの中村屋さんまつり。もちろん行きました。昼夜行って、悩んだけど2回目は辞めて、幕見で夜昼のハイライトを狙って駆けつけて。
歌舞伎良いな〜という、もともとのきっかけは、勘三郎さんなんだけど、お父さんもっと見たかったな…という思いは不思議となくて、なぜならやっぱり2人の兄弟の中にちゃんと生きてるから。それをひしひしと感じた。
どれほどまで、たくさんの時間と芝居への愛、息子への思いを、注いでき

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赤目の転生

赤目の転生

実はいろいろ心配してたんです。
見る前は。
現代の言葉でやるとか聞いたし、蓬莱竜太さんのこともあまり知らなかったし。でも、杞憂でした。
刺激的でした。
興奮したし、ときめいたし、やるせなかったし。何より驚いたし。
愛する女性のために、何度も何度も転生するお話でした。
最後にきれいに輪がつながり、心の中に、ストンと落ちました。
驚きは、もちろんあったんだけど、暗い予感も確かにあった。
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