澄み切った晴れの日だけど

澄み切った晴れの日だけど、密やかに雨が近づきつつあるらしい。花弁は散る瞬間を待ち望み地上に落ちて茶色に濁る。しっとりとしたひとひらを地に落ちる前にその手に握りしめても、すぐ潰れ、ねばつく液を出すそれをいつまで持っていられるだろう。

雨であれ雲の上には太陽があると言っても手に届かない。今ここで救いがほしいそれだけを望むことすら傲慢なのね。いつ死ぬか分からないまま濡れている横断歩道を渡り終えずに、肩掛けの革の鞄に雨粒が落ちていくのをとめられもせず、冷え切った鉄筋五階のアパートに僅かな眠り貪りに行く。夢ならば夢でいいから聞かせてよこの世に落ちて来た意味や意義など。