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陶芸用100v電気窯の電熱線修理のまとめ

僕は2022年現在、100v電源のPetitという電気窯を2台所有し、4年前から使っています。
普通の家庭用電源で使えて、とっても便利な窯なのですが、
電気窯は粘土が充分に乾燥していない時に素焼きをして水蒸気がコイルにかかると、電熱線の劣化が早め、すぐに硬くなって折れやすくなったり、抵抗が増して温度が上がらなくなったりします。

そういった場合はカンタル線コイルを購入して自分で交換するのですが、ネットで買うと交換費用が時価で1本8000円以上いくこともあり、コスト的にもなかなかのものです。
しかし、色々調べているうちに裏ワザをいくつか発見できました。なので今回は、

  1. 電熱線コイルが断線した時の応急処置方法

  2. A1カンタル線を安く購入する方法とコイルの作り方

について、情報共有させて頂こうと思っています。
コイルの交換方法については既に情報がいっぱいあるので、検索してみてください。

1.電熱線コイルが断線した時の応急処置方法

・最近エラーが出て窯が止まる。
・焼成時間が長い

このような症状が出てきた時、カンタル線が劣化している証拠です。
もしかしたら劣化だけでなく、実際に切れていて、かろうじて電流が流れている状態の可能性もあります。
カンタル線は折れてしまうとアルゴン溶接バーナーでなければ、強固に繋ぎ直す事は出来ません。
カンタル線はもともと1400度でも劣化をしない品質のニクロム線で作られているので、家庭用の溶接バーナーでは全く溶けてくれないのです。
業者に来てもらうと数十万と高くつくし、いったいどうしたら、、、。

そんな時は応急処置として、
切れた部分をニクロム線の固定ペグで断面をくっつけて、1250度で1回窯焚きをしましょう。
切れた部分が合わさるとその間に電気が流れますが、圧着された部分は流れる部分が狭いので電気がの負荷が溜まって高温になります。
そのまま1250度を超えると、圧着部分は負荷により1400度を超え、溶けて軽くですが溶着します。
窯に負荷をかけるので、あまり好ましくはありませんが、急いで応急処置をするには安全で簡単な方法です。
ちなみに、強めにペグで固定しないと溶けたときに離れてしまうので注意です。
※下の写真のように溶けた余分な皮膜が黒くなってダマになります

途中で切れて溶着したカンタル線コイル


2.A1カンタル線を安く購入する方法とコイルの作り方


「ニクロム線 A1」「カンタル線 A1」
と検索を掛ければ、800円で7mくらいのカンタル線の商品がヒットしますが、これは細すぎて窯には使えない物が多いです。
※実際には使えますが、素焼きぐらいまでしか温度は上がりません。
あなたの100v電気窯のカンタル線の直径を実際に測ると2.5mm~3mmくらいの太さのものが多いでしょう。
この太さになると、ネットショップでは購入出来ず、金属加工の会社から取り寄せる事になります。
自分は下記会社でお見積りをして4mを数十本購入させて頂きました。
※送料が割と掛かるのでまとめ買いがお得です。
※金属は価格が変動する物なので、値段は直接聞いてください。

【坂口電熱株式会社九州営業所】
 〒841-0204
 佐賀県三養基郡基山町字宮浦991-2
 TEL:0942-92-8233

ちなみに、カンタル線A1のA1というのは規格番号で、1400度までの高温焼成に耐えられるという意味です。

ただ、金属加工の会社で買えるニクロム線は直線なのでコイル状にはなっていません。
なので、自力でコイルに成形する必要があります。


カンタル線コイルの作り方


さて、カンタル線が家に届いたらコイル成形です。
用意するものは5つ
・インパクトドライバーorドリルドライバー
・長ネジの棒ナット40cmくらい、ユニクロm8サイズ
・金属用ドリルビット
・金属切削用グラインダー
・滑り止め付きのポリグローブ

まず、棒ナットの端に3mmくらいの穴を空けます。
穴のある方と反対側をグラインダーでドライバーに接続出来るように削ります。
ドライバーに棒ナットを繋げたら、穴にカンタル線を通して先端を折り曲げ、ゆっくりドライバーを通電し回します。
※この時先端を凹みに押し付けながら回したり、回すのを他の人に手伝ってもらうとより楽に出来ます。
ドライバーが回り始めたら、カンタル線を引っ張りながら棒ナットに巻きつけていきます。
良い感じの長さのコイルになったら、穴に入ってる線を切るか引き抜くかして、コイルを取り出します。
長さを窯のサイズに調整したら完成です。

僕は最初、力尽くでそこらの金属に巻き付けていたんですが、手がボロボロになってしばらくロクロで手が染みるほど大変な事になりました(笑)
今回のやり方は怪我をしにくい方法ですが、グローブは装着して行ったほうが良いと思います。


最後に
中型や大型の200v電気窯は高電圧で危険なため、万が一を考えて業者さんに直してもらいましょう!部品の配線を逆に繋いでショート&プチ爆発した人を知っています。
また、本記事は安全の保証を致しません。自己責任で電源を切ってから安全の検証をしながらお試しください。


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