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松井稼頭央監督、休養に思う

ヘッダー画像は美的.comさんから拝借いたしました

ライオンズファンにとって激動でもあり、衝撃の一週間が終わろうとしている

5月24日(金)、4-4の同点で迎えた9回表、この回を抑え、裏の攻撃でサヨナラ勝ちを期待して送り出したA.アブレイユが5失点を食らい敗戦。8連敗となり、両リーグ最速となる30敗目。勝率は.302まで落ち込み、次負ければ、3割を割り込む事態に

5月25日(土)、7回終了時で2-5とリードを許し、多くのファンが覚悟をする中、8回裏に一挙4点を奪い大逆転。9回表は前日33球を投げ、本来なら休ませるところだが、悪いイメージを早く払しょくさせてやりたいとの思いもあり、A.アブレイユを連投させ、見事セーブ。ようやく連敗をストップさせる

そして5月26日(日)、ボー・タカハシの好投もあり、0-0で進むが、7回表に先制点を許す。攻撃陣はブルペンデーによる細やかな継投もあり、苦しんでいたがこの日も8回裏に一挙5点を取って逆転。連勝で翌週から始まる交流戦に向け、弾みがついたと気をよくしていた矢先のことだった



Twitter【現X】でこの一報を見た瞬間、「マジか…」と口に出るぐらいショックを受けた。そしてこの一週間、様々なメディアから休養という名の解任について記事が出て、おおよそ出揃った。本当なら当日に自らの思いを書きたかったのだが、頭の整理がつかず、ようやくnoteを書き始めた次第である


まずもって松井監督に関しては、戦力不足で戦える陣容ではなかった。就任と同時に森友哉、昨年オフには山川穂高と打線の軸を2人も欠き、いわば「飛車角落ち」の状態。そして同じパ・リーグのチームに移籍したことでプラスマイナスがモロに出る

それもあって今シーズンを迎えるにあたり、長打力不足を補おうと、堅実な成績を残し、好漢な人柄でファンにも愛されたD.マキノンには契約延長のオファーをせず、新たに開拓した中南米路線を軸にJ.アギラーとF.コルデロを獲得したが、近年ハードルが爆上がりしている日本野球への対応が遅れ、期待通りの活躍が出来ない

そして近年来の課題として挙げられる「若手野手の台頭問題」が開幕から解決できず、いよいよ八方塞がりな状況に

こういった状況は多くのライオンズファンであり、野球ファンであれば周知の事実なので、松井監督にだけ責任があるのではなく、むしろ補強が出来ないフロントこそ元凶だと思っている方が多かったはず


ただ一方で松井監督にも課題はあり、一つは勝利後インタビューや記事から伝わってくるコメント力、もしくは発信力の乏しさ

「優しすぎる」「厳しさが足りない」など多くの記事でも散見されたが、周りに気を使いすぎるのがあまり、言葉の焦点がぼやけてしまうことが多かったように感じる

指導者や選手に対してコーチングであったり、言語化するトレーニングを積んできたはずなのに、当の松井監督が対外的なスピーチ力において中々上手くならなかったのは残念である

で、仮に対外的な印象を良くするため、表向きは選手を悪く言わず、隠れた場所であれこれ言っているのであれば別だが、それは無かったはず。というのもスポーツ紙のバンキシャは書けないことを含め、多くの情報を持っていて、シーズンが終わって回顧録でその時起こったことを記事にするというのが通例。しかしこの一週間、ある種の「裏の顔」が暴露されることはなく、ここに嘘は無かったのであろう

松井監督の選手に対する対応については、球界OBから苦言を呈されることもあったが、20年~30年前と言えば、鉄拳制裁とも称される直接的な暴力(パワハラ)や選手の不出来を詰る言葉による暴力(モラハラ)があった時代なので、選手を安易な批判から徹底的に守ったこと自体、何ら責められるものではない

逆に言えば、天下の松井稼頭央である。日米通算2705安打、465盗塁を記録した日本球界を代表するレジェンドがそこまで周りに気を使わなくても。とも思ってしまう

高校時代はピッチャーでプロに入ってから野手に転向する例は多くいるが、求められるハードルが最も高いショートでイチから練習し、2年目の途中から一軍に抜擢された選手はそう多くない。そして2年目のオフには左打席での練習も開始し、これまたハードルの高いスイッチヒッターにも取り組み、3年目の後半には結果を出し始める

若いころはプロに入ってから作った左打席で練習し、疎かになってはいけないと右打席でも同じ量の練習をする。そしてさらにショートの練習もするなど、驚異の身体能力と無尽蔵の体力を誇る努力の人であり、ド根性の人でもあった。なのに選手に対して強制しなかったのがむしろ不思議なぐらい



結局、春季キャンプを1週間遅らせたのも、メジャーリーグを経験し、プロ野球界の慣例として1か月近くやると途中でダレるというのがあったかも知れないが、選手の自主性に期待したからであり、それが結果につながらなかったのは残念である


あともう一つ言うならば、松井監督がカッコよすぎた。こう書くと「何を言ってんだ?」と思われそうだが、見た目や発言など良くも悪くもスキがない。そのイジり辛さがネックになった感もある。例えば岡田彰布監督や新庄剛志監督、新井貴浩監督は三枚目を演じている節もあるが、スキがあるのでイジられるし愛される

元々陽気で人たらし要素が強い渡辺久信GM兼監督代行はもちろんのこと、現役時代は怖い存在として知られた辻発彦前監督は、年齢を重ねるごとに棘が取れて愛される存在になったことを考えると、二枚目過ぎるが故に面白みがないと見られるのは不幸である


成績が振るわず、任期満了に伴う辞任、もしくは解任であっても「監督失格」の烙印は押されたのであろうが、シーズン途中で休養という名の解任はより濃度が強い

選手時代も4年目の1997年には中心選手となり、リーグ二連覇に導いたが、リーグ三連覇ならびに日本一になるためにと、DHしかできないD.マルティネスでは出場が限定される日本シリーズで勝てない。と冷静に考えれば無茶苦茶な理論で契約更新のオファーをせず、打って守れる外国人選手と契約

しかしこの書き出しで予想がつくと思うが、新外国人選手4人で打った本塁打は25本。前年一人で30本塁打記録したマルティネスに及ばない惨状。それによってマークが集中した鈴木健は成績を落とし、高木大成も怪我と打線の軸がなくなり、松井が孤軍奮闘する毎日

2001年にA.カブレラとS.マクレーンが加入し、一気に長打力不足は解消されたが、この間はほぼ依存状態に

腰痛が酷く、守れなくても指名打者で出場し続け、その後のキャリアにおいてもかなりの影響があったと言われている

つまり、監督としては致し方ない部分もあるが、選手時代に続き、二度も西武球団は松井のキャリアに大きな傷を付けてしまった。それに長年見てきた僕は勝手ながらに申し訳なさを感じている


これによって当分の間、プロ野球界(NPB)から指導者としてお声が掛かることはないだろう

しかしまだ49歳、これで評価が定まってしまうには若すぎる。日刊スポーツの金子真仁記者が締めの言葉として書いているが、ずっとプロ野球界にいて夏休みを含め、休まるときは無かったはず



不本意な休養だとは思うが、ほぼ30年間背負ってきた重責を一旦降ろし、身軽なイチ松井稼頭央としてゆっくり過ごしてほしい。そして一旦休んだ後は、指導者としての活動を再開してほしい。その為に資格を取得(回復)して学生を教えるのも良し。社会人や独立リーグでも良し。まだまだ動けるし、そもそもこんなに筋肉があって、体脂肪率の低い監督なんていないんだし

10年後、身体はずっとシェイプアップされたままに、人生経験を経て太く大きくなった松井稼頭央が再び球界に戻ってくることを願っております


では👋👋

ライオンズを中心にあれこれ思った事を書いてます。