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シンガポールが他の東南アジア諸国より発展できたのはなぜ?②

前回の続き。

①シンガポールはどのような発展の仕方をしたのか?【内容】
②なぜシンガポールではうまくいったのか?【理由A】
③他の東南アジア諸国はなぜ同じように発展できなかったのか?【理由B】

この3点をおさえれば、問いに対する解(=仮説)になりそう

という話だった。


Q.シンガポールはどのような発展の仕方をしたのか?


「シンガポールは外資誘致による輸出指向型工業化に取り組むことで急速に成長した」

具体的には
・石油化学プラントの誘致
・造船業の誘致
などを行った

これは教科書に書いてある。




では、

Q.なぜシンガポールではうまくいったのか?


モチオカはこれを「シンガポールは一点集中!することができたから」なんじゃないかと考えている。

言い換えると、「シンガポール以外の東南アジア諸国は一点集中!できる状況になかったから、経済発展が遅れた」のでは?ということ。



一般論として、何か一点に集中することができるのは

A)この道に進むぞ!という覚悟を持てていた【気持ち】
B)資源を一点にぶっこむことができる余裕がある【財源】
C)強力な実行力があった【政治権力】

という事情ゆえ、と言える・・・と思う。


何かに集中しようにも、気を紛らわせたり迷わせたりする要素があれば集中できないし

実際に集中しようにもやっぱりお金が必要だし

誰か邪魔者がいれば集中できないので。


上のA〜Cがそろってこそ、一点集中!は実現できるわけです。



ということで、シンガポールに

上のA〜Cに当てはまりそうな要素が実際にあったのかどうか?を探ってみた。



A)この道に進むぞ!という覚悟を持てていた【気持ち】

①なんとかしないとマズい!っていう危機感があった

・1965年、マレーシアから追放される形でシンガポールは独立した
・マレーシアという市場を失い、一気に人口180万人の小国家になった



②輸出指向型工業化はシンガポールの強みを活かせる道だった

・マラッカ海峡に位置し、世界中の船が集まる場所
・イギリス植民地時代から中継貿易地として発展していたため、港湾が整備されていたしノウハウもあった
・隣国インドネシアから原油を輸入しやすい(→石油化学工業)


③外資誘致への抵抗感・阻害要因がなかった

・他民族国家
・英語が公用語



B)資源を一点にぶっこむことができる余裕がある【財源】

①社会保障コストが低かった

当時の人口ピラミッドを見ると、典型的なピラミッド型で高齢者福祉にかかるコストが小さかった


②インフラ整備にそれほどコストがかからなかった

・イギリスによる統治を受けていた
・国土が狭い


③戦乱がなかった


C)強力な実行力があった【政治権力】

①一党優位の体制(開発独裁)

・リー=クアンユー首相の長期政権



このように、シンガポールは1960年代から一点集中!できる状況にあったと言える。



では、他の東南アジア諸国は一点集中することができなかったのだろうか?

もし他の国々でも一点集中することができる理由(A〜C)がしっかりとそろっているのであれば、ここまでの解の説得力はなくなってしまう。

ということで、他の東南アジア諸国の事情も確認してみよう!


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