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#002 シンガポールは朝が暗いからこそ経済発展した

シンガポール旅行で初めての朝を迎えて驚いたのが、朝の暗さ。これは朝6:40の写真ですが、真っ暗です。「冬だから朝でも暗いんじゃないの」って思うかもしれませんが、シンガポールはほぼ赤道直下の国なので違います。

シンガポールの朝6:40の様子(9月)

なぜシンガポールの朝は暗いのか?

シンガポールの朝が暗い理由

どうやら、シンガポールは標準時を意図的に1時間進めた設定にしているから、とのことです。「太陽の位置的には5:40」の時刻は、シンガポールでは「6:40」です。

このことを知った時、僕は「え!そんな勝手なことしていいの?」ってギョッとしたのですが、なんと自分の国の標準時はその国が自由に決められるようです。国際的に「こうしなきゃダメ」っていうルールはないのだとか。

だからこそ日付変更線はクネクネと曲がっているわけです。経度180度付近に位置する国々が、それぞれ自国が望む標準時を設定した。だから日付変更線は真っ直ぐにならなかった。

ちなみに、シンガポールが標準時を1時間進める設定にしたのは、隣国のマレーシアがそのような設定にしたからとのこと。詳しく調べたわけではないので間違っているかもしれませんが、「シンガポールが自ら1時間進めた」というよりは「マレーシアの決定の後追いをした」ということのようです。

等時帯の地図

マレーシアは国土が東西に広がっています。国の標準時を設定する際、1つの国の中で標準時を2つ設定する選択肢もあったけれど、それだといろいろ面倒なので1つに決めたい。じゃあ東側(カリマンタン島)と西側(マレー半島)のどちらを基準にするか?そう考えた結果、東の地域の標準時を国土全体に適用した。

そして、そのマレーシアの決定を隣国シンガポールが後追い。

・・・と、ここまでが前置きで、やっと本題です。(まじで!?)

標準時をズラすことのメリット

今回のシンガポールの件で面白いなと思ったのは、この標準時の設定が、シンガポールが経済大国になったことに一役買っていそうだな〜という点です。

標準時が1時間進んだ設定になると(例えば本来7時の時刻を8時とすると)、同じ時刻でも太陽の位置が低くなって朝はより涼しくなるので、通学・通勤しやすくなります。日本ですら夏の朝は暑いということを考えると、ほぼ赤道直下で年中暑いシンガポールでの朝の移動は相当しんどそう。ですが、標準時が1時間早まることで比較的涼しいうちに移動できるようになります。すると、仕事・勉強前の体力消費を少しは抑えられます。これって実は国にとってかなりのメリットなんじゃないかと思います(まあシンガポール経済を引っ張っている富裕層は涼しいタクシーで移動するのかもしれませんが・・・)。

また、標準時が1時間早まると夕方~夜の明るい時間が1時間増えます。すると、人が遅い時間まで外を出歩きやすくなって、消費活動が増えることが期待できます。より経済が活発化するわけです。

さらに、標準時が1時間早まることで、シンガポールと民族的にも地理的にも関係が深い中国と同じ標準時になります。時刻がズレているよりも同じな方が、交流は活発化します。中国と国境を越えたビジネスがやりやすくなる。

さらにさらに、ライバルの香港とも対等に競争できるようになります。シンガポールの方が時刻が1時間遅れていると、1時間早く開く香港のマーケットにマネーを奪われてしまいそうですが、ライバル香港と同じ標準時にすることでそのリスクが低下します。

以上のように、隣国マレーシアの後追いをして設定した「1時間早めた標準時」が、結果的にシンガポール経済の活性化に大きく貢献していそうだな、ということに面白さを感じました。

もちろんデメリットもあります。朝が暗いと、子供の通学が危なくなります。

ですが、そんなことお構いなしなのかも。シンガポールは社会的弱者(=子供)に配慮するよりも、社会的強者(=暗くても平気な子供、バリバリお金を稼ぐビジネスマン)に最適化することを選んでいそうなので。


関連する問い

★日本でサマータイム導入(=「夏の間は時刻を1時間進めよう!」)が検討されたことがあります。結局は導入に至らず現在に至りますが、サマータイムを導入してみる価値はあるのでしょうか?

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