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『DVから逃れる』 あるDVサバイバーの記録 #007

#007  シェルターでの生活②

離婚調停に向けて、シェルターの方から紹介された弁護士に会いに行くことになった。
私が紹介された弁護士は男性だったが、この方はシェルターで紹介している唯一の男性弁護士だった。
他の被害者は大体女性の弁護士を紹介されているらしい。
元夫がものすごく女性を下に見ていることから男性弁護士を紹介したそうだ。

弁護士の元へ行く前に、証拠として動画、音声、書き留めていたノートをデータで送っていた。

弁護士の印象は悪くなかったが、2回目に会った時に紙と鉛筆を出され、「今までされてきたことを書いて」と言われ、データで送っているはずなのでそのことを告げると「ああ、そうか」という反応。正直やる気あんのか?と残念に思った。
弁護士にとっては依頼人の1人かも知れないが、こちらにはこれからの人生がかかっている訳で。
この時に感じた違和感は的中する。
女性弁護士の方が良かったかなぁ…。

でも、契約を結んでしまったので戦わなければならない。この人を信じていこうと思うしかなかった。

退所後に住む家はシェルターで探してくれた。
生活保護を受けることになっているので家賃には制限がある。公営団地に入れたら良かったのだが、空きがなく古いアパートに住むことになった。洗面台も無い狭いアパートである。
なるべく早くシェルターを出たかったため、このアパートに住むことを決めた。
家具、家電は一から自分で用意しなくてはならない。お金もそれほど無いので中古品で揃えた。冷蔵庫はできれば新品が欲しかった。中古の冷蔵庫は1年程で壊れた。とりあえず住むのに必要な物を揃え、あとはそのうち揃えていこうと思った。

そして、遂にシェルターを出る日がやってきた。
シェルターの職員にはお世話になったが、この後も引き続きいろんな面でお世話になるので寂しさはなかった。
契約したアパートに移り、夜に近くの店に買い物に行った時、この上ない開放感を感じたのを覚えている。
アパートは古くて狭くて元夫と住んでいた庭付き一軒家とは全く違うけど、夜出掛けても何も言われない、怒鳴り声も無いのは本当に嬉しかった。
とは言っても本当の戦いはこれから。
離婚調停、裁判、社会復帰…。現在も続くとても長い戦いに入っていくのである。

次回へ続く

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