喫煙可の部屋

あなたが旅先で夜を明かそうと思ったとき、あなたの眼前にいくつかの選択肢が顕れる。

選択肢とはつまり人生そのもので、人生とはあなたにはコントロールできない神様のようなものであることはすでに御存知の通りだが、さて、この神様は現世を邪悪たらしめる例のゴミ、資本主義としっかり手を繋いでいる。絶望!極楽があるとすれば絶対にそこには通貨は存在しえないというのに…。

何が言いたいかというと、宿泊施設はだいたい予算で決めるよねってことだ。

場所にもよるが、最も金がない場合は野宿、もうちょっと金がある場合はネットカフェ、金持ちはカプセルホテルかゲストハウス、そして石油王はビジネスホテルの喫煙可の部屋に泊まることになる。

俺は石油王ではないが、このたび人格の高潔さを認められ、ビジネスホテルの喫煙可の部屋に泊まることを許される運びとなった。

喫煙可の部屋の悪いところはやはりなんといっても染み付いた悪臭で、これは喫煙者たる俺からしてもやはり悪臭である。タバコの匂いならお前も撒き散らしてるじゃないかと思うかもしれないが、部屋の壁に染み込んで月日が経ったタバコの匂いが嫌なのだ。みなさんがステーキが好きだと仮定して、三ヶ月前の肉汁が壁にシミを作っている部屋に泊まりたいだろうか?

少し脱線するが、たまに電車に乗っているとき(脱線と電車!!オシャレだ)薄汚いおっさんからホテルの喫煙可の部屋みたいな匂いがすることがあるから、タバコの匂いが染み込んだ服も悪臭を放ちうるのだろう。気を付けて洗濯したいものですね。

この大きすぎるデメリットを打ち消す方法を一つだけ見つけた。備え付けの消臭剤?違う。あんなものは何の役にもたたない。自決用にもたぶんならない。

唯一の解決策、それは自らがタバコを吸うことだ。喫煙可だしね。タバコを吸うとその後肺に入れた空気が浄化される事が知られている。燃えさかるタバコ本体の激烈なフレーバーに比べれば壁に染み込んだ臭気など微々たるものだから、悪臭も何も感じない。この世は主観だけで構成されていて、客観など存在しないのだから、ほとんどの問題は自身の認識を改変することで解決できる。ンッン〜、名言だなこれは!

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