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【詩と心と声】シリーズ集

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女優・望木心の心の中を現代詩で綴っております。Twitter、Instagramで公開した内容をアップしてゆきます。新しい詩も掲載予定。心が寄り掛かりたい時、癒されたい時、優しく…
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#太陽

幸福の最中

海の中に太陽が溶けてゆく 幸福の最中のように ずっと浸りつづけられたら あんたと 必ず夜はあるし必ず朝もある 気だるそうな顔にぬれた瞳 指であたたかな雫をすくう どこまでゆくのだろう 永遠ってなに いつか終わりが来ることは 分かりきっている そんなシラけた手紙は燃やして 粉にしてしまっていい あんたの血の温もりに指先がつながって ようやく分かり合えただなんて 死んでも冗談じゃない あんたのぬれた瞳が海に溶けた太陽みたい 波の飛沫に包まれて漂い感じるの 永遠に それだ

白昼の月と太陽

頬に差さる 白昼の陽に焼かれて 負けてしまいそうな午後3時 誰もいない森へ 静かな場所へ 小さな緑の手のひらが無数に広がり 遠いまぶしい青空を隠す さっきまで光に憎さを感じていたのに 私は途端に寂しくなって そこに美しさを見つけた 昨日 散ってゆく葉桜の枝の隙間から 月が見えていたのを思い出す 白昼の月は 姿を変えて 私に語りかける 「そばにいるよ」