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「この薬を飲むと未来があなたの思う通りに進んで行きます。ただし、あなたはその度に寿命が縮むような思いをするでしょう。」 魔女から薬を買った。自分の過去全部を売って。薬と引き換えに過去を引き渡した。こんな過去は要らないと思ったから。 魔女は僕が店から出る時に声をかけた。 「いつでも未来を手放すことはできますからね。」 僕は薬を握りしめていた。 彼女との未来を手に入れる為に、僕は自分の過去を売った。僕の過去は誰かの過去になるらしい。生まれも、思考も、経験も他人のものに。