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野蛮な人間たち、上海蟹を貪った夜

先日、池袋で上海蟹を食べてきた。この日集められた人たちは蟹ビギナーがほとんどだったので、そもそもどうやって食べるのという初歩的な疑問が飛び交っていた。誰かが「お腹をバラバラにするんだよ」と発言。言葉だけで聞くと強烈で野蛮だ。お腹をバラバラにするなんて、スプラッター映画の悪役がやることじゃんと想像しながら、ありがとう、ありがとうと心のなかで唱えながら、誰かに許してもらおうという気持ちで甲羅や足を折ったり剥いたりしていた。蟹をばりばり剥いて食べるあの感じはまるで動物に戻ったようなかんじだった。

蟹がやたらとグロいことはわかっていたけど(甲殻類ってそもそもグロテスク)意識を変えることって案外難しくないんだなと実感した。集団心理か?みんなが興味深くバキバキ蟹を解体しているから、自分だけうえって言っている場合ではなかったし、たぶんひとりだったら蟹の細部を観察して、あれやこれやと想像しながら結果・・・気持ち悪いッ!って蟹を放り投げて食べるのをやめちゃいそう。
でもみんなで食べたら怖くなかった。蟹、みんなで食べたら怖くない。生物の授業のようでもあったし、人間って恐ろしい生き物だなと思った。

黄色い脳みそをちゅーちゅー吸って甘いとか美味いとか言ってんだもの。自分よりはるかにデカい生物が人間を食べながらこれやってたら怖いなあとか想像してて。ただ、わたし達は生き物だからこの行いは自然の摂理であり当たり前のことでもある。ありがたいありがたい。ありがたりあん。普通に美味しくいただいちゃった。とはいえ、普通の蟹と上海蟹はなにが違うのか結局さっぱりわからんかったな。

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