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情シスオンボーディングとして行ったことなどまとめ

こんばんは、しがない情シスです。

今日のテーマはオンボーディングです。
オンボーディング、悩ましいですよね。
早く慣れてほしいけど、何処までやったらいいのか、通常業務と並行しながらどうするのか、そもそも何したらいいのかわかんないよぉ…などなど、正解なんて無い世界です。

これは、何にもない所からはじめて情シス担当者に対するオンボーディング(と言っていいか分からないけど)を行ってみた事例兼備忘録です。

オンボーディングとは?

まず、オンボーディングの定義ですが、乱暴に要約すると「早く環境に慣れてもらって、受け入れる側もみんなで協力して受け入れていこう」という目的で行われる入社時受け入れプロセスのことです。
詳しくはこちらのリンクなど、ググったらいっぱい出てきますね。
言葉の意味自体はこれで解ると思います。

オンボーディングの目標やゴール

オンボーディングの目的は上記の通り「組織に馴染むスピードを上げて仕事しやすくしてもらう」なのですが、「じゃあそのために何したらいいの?」という点は恐らく業種・業態・職種・企業文化によって異なると思います。
調べても「具体的に何やったか」まではそんなにヒットしないのはそういう理由もあるんでしょうね。(大抵自社向けにカスタムされることになりますし…)
そして他社の取り組みをそのまま輸入するのも難しいものと思います。

何を目標やゴールに設定するのか、みたいなところはホント環境によりけりだと思います。
「先輩メンバーとしてはどうなってもらったら嬉しいか」「新しく入る人はどういう風にしてあげたら喜ぶか、プラスになるか」みたいな点をじっくりコトコト考えてみましょう。

こんな風に考えた

  1. 早期に会社の組織構成や文化を知って欲しい​

  2. 業務内容や、業務の周辺環境を知って欲しい​

  3. 人間関係の把握やコミュニケーションをスムーズに行えるようになってほしい​

設定した目標

Level.1:会社の文化やルールを知る・システム管理のチュートリアルを受ける​
Level.2:システム個別の説明を受ける・管理コンソールへアクセスでき、操作できる​
Level.3:定型業務、低負荷業務を実践する・ドキュメントのメンテができるようになる

難易度の低いものからステップバイステップしてもらう方式にしました。
それ以降のお仕事はOJTでペア作業​で習得してもらいました。

現状の把握

オンボーディングが既に会社として行われている場合は、もう何も言う事はありませんね。
協力してオンボーディングを行いつつ、ブラッシュアップできるところはガンガン手を入れたり、手を挙げて改善したりすれば良いと思います。

それらしきことをやってないよ、でもオンボーディングをやりたいよ、という場合はまず現状把握からですね。

私の今の職場の場合、採用時には新卒であれ中途であれ「採用時研修」があります。
集合研修形式で一定期間入社研修(座学・実地・外部講習)やオリエンテーションを行い、以降は部署ごとにOJTで、という流れになっています。
良くあるような教育手法かと思います。

ただ、このやり方について以下の点も課題に感じていました。

  • 集合研修なので、内容は画一的なものになり、職種ごとの教育は考慮されていない

  • 教育期間内に伝えきれないことも割とたくさんあり、実際に働き始めてから口頭で教えられることも多い

  • 中途採用者は「ある程度教育されている前提」なので教育カリキュラムそものもが短めだったりする

  • 研修一回きりの知識は忘れてしまうこともある

実際自分も中途採用で教育を受けてみた身としては「結構ローカルルール的な物があったりして慣れるまで大変」という感想でした。
この「慣れるまで大変」という負荷がかかってる間は早期戦力化なんて難しいよという話なので、なるべくならそういう期間は短縮したいですよね。

ただ、教育を担当しているコーポレート部門にいきなり「こうしたいです!」と申し出ても、既に組んであるカリキュラム等を急に見直すこともなかなか難しいと思います。

…よし、じゃあ自分でやるか!!

やったこと

実際にやってみたことは以下の通りです。

  1. 入社数か月前に「1ヶ月間くらいはガッツリと教育の期間を取りますのでよろしく!」と高らかにチーム内へ宣言する

  2. タスク管理ツールに「入社日にやること」「一週間ごと」のオンボーディングタスクを登録しておく

  3. オンボーディング資料を作り、タスクのフェーズに従って毎日時間を割いて教育を行う(主にスライドショーを見ながら説明)

  4. 集合研修など、事前に組織で決まっている研修は普通に受けてもらう

  5. 最終週のタスクにはゴールとなるタスクが設定してあるので、全部消化したらオンボーディング・完!

本来的な意味で言ったら、オンボーディングというものは組織を挙げて行ってこそ最大の効果を発揮するものと思います。
ただ、それを実行できるのは既にそのようにできている組織・そのように実行したいという意思がある組織の場合のみです。

なので、今回私が行ったのはあくまでも「情シスとして新規に入ってくるメンバーを働きやすくする」事にフォーカスしたものになります。
効果は限定的ですが、それでも私が感じていた課題を解消するには足る物でした。
詳しくは後述の効果と感想にて。

作ったタスク

Microsoft 365があるので、情シスチーム内のチャネルにPlannerを一つ追加し、以下のようにタスクを管理しました。

  1. バケットは「初日」「1週目」「2週目」「3週目」「4週目」をつくる

  2. バケットの中にその週にやるタスクカードを作る

  3. タスクカードの粒度は「この作業をする」という実績を解除したらクリアできる程度のものにする(○○システムの管理コンソールを触ってみる、など)

  4. 週を経るごとにちょっとずつタスクの難易度をあげていくようにする

  5. タスクが全部「完了」のステータスになったらオンボーディングタスクはおしまい、後のケア(応用的な事など)は実地にて行う

作ったスライド

オンボーディングに際して、パワポのスライドで資料を作成しました。
これを見ながらお話しして、質問を受け付けながら対話していくスタイルです。
大まかに内容はこんな感じになりました。

  1. オンボーディングの目的

  2. 基本編

    1. 社内の文化や雰囲気など

    2. 就業時のルールなど

  3. オフィス編

    1. オフィスの一日の流れ

    2. 共用スペース、ファシリティの取り扱い

    3. 現場の歩き方、安全対策

  4. ITツール編

    1. 契約しているITサービスやシステムの概要

  5. ITインフラ編

    1. サーバー、ネットワーク、PC、スマホ、複合機など、社内にあるITインフラに関する概要

  6. 基本業務編

    1. ヘルプデスク、デバイス管理、入退社対応などの定常業務

  7. 応用業務編

    1. 1ヶ月後を経過した時点(ある程度慣れたら)説明する内容

    2. 稟議書、発注書、納品書、経費精算などについて

    3. 情報収集の仕方と課題の見つけ方

    4. 現在抱えている課題の共有

表紙とか中表紙も含めたら、トータルページ数は165Pになりました。
ちょっとやりすぎたかもしれない。でも後悔はない。

やってみての課題など

やってみて、まだまだだなーと思う点もいくつかありました。

  • 教育時間に本業の問い合わせ(緊急度が高いもの)が来ると中断して対応になってしまう

  • 小さな成功体験を積ませてステップアップ、の塩梅が難しい

  • 前提条件が「一人の入社に対してのオンボーディング」であり、複数名の入社オンボーディングにそのまま使える内容では無い

    • Plannerのプランも一人専用のものとして作成

    • プランの内容も情シスの職種に特化した内容にカスタムされている

    • ある程度のリテラシーもある前提

やってみての感想・効果

この教育を受けた後輩さん、自分が入社した時に比較して、「周囲への溶け込み具合」「仕事の慣れ」のスピードが明確に早かったです。
勿論本人のポテンシャルや人柄もあっての事ですが、私が半年ぐらいかけてようやっと出来るようになったことも、1ヶ月のオンボーディング期間終了後くらいには出来てる、というような感じでした。

教育や受け入れにかかるリソースや時間は確かに少なくないです。
資料づくりとかめっちゃ大変でめげそうになりました。
ただ、受け入れた後の初速と伸びが違いますし、そうなってくると後々チーム単位でもグッと楽になっていきます。

いやぁ、掛けた手間暇以上にぐんぐん吸収する様を見ているのはいいものですねぇ。
このまま健やかに伸びて、快刀乱麻の活躍を見せていってほしいものです。

その他にも、事前に目的と目標が明確になっているので、OJTに比べて教育プロセスだったり、フェーズが可視化しやすいのもメリットですね。
「ここまで出来てればある程度お任せできるよ!」っていうのが教育する側も、受ける側も双方が見えてるのは、とっても分かりやすくて良いです。

おわりに

ひとり情シスがステップバイステップなオンボーディングをひとりでやったよ、というお話でした。
確かに多人数で組織だってオンボーディング出来ればそれに越したことはありません。
ただ、ひとりであってもその中で出来ることはありますし、効果を出せるとは思います。
さびしくなんかないやい。(´・ω・`)

この記事が情シス入社受け入れに思い悩んでいる方の一助になれたら幸いです。

あ、もし具体的にどうしたかを詳しく相談されたい方、いらっしゃいましたらどこかでDMとかいただければお答えできます。
その時は、私が初日にアイスブレイクとして行ったはっちゃけ自己紹介とか、どうでもいいお話もしたいなーと思います。

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