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わたしが海外未公開株で収益を上げるために徹底している7つの事

あなたは、海外未公開株のROE(自己資本利益率)を定期的に計測して、改善要素を洗い出し、改善策を経営陣に提案して、少しでも数字が上がるように努力しているだろうか?

ROE(自己資本利益率)は企業の経営の良し悪しを示す最も大事な指標の1つ。これが1%変わるだけで、企業も投資家も収益は何倍も変わってくる。

例えば、もとのROE(自己資本利益率)が3%だったのが、4%に上がるだけで、収益は33%も増える。さらに、1年、2年、3年と経つごとに、再投資と事業拡大で、収益は想像できないぐらいに大きくなっていく。

つまり、ROE(自己資本利益率)の定期的な計測と改善は、収益の増加に直結する重要な作業だ。

わたしは海外未公開株に投資するとき、定期的にROE(自己資本利益率)を計測と改善をしており、現在、加重平均で70%を超えるROE(自己資本利益率)が出ている。アメリカ企業が20%前後、欧州企業が12%前後、日本企業が7%前後の状況を見ると、主要なマーケットの大企業の平均を遥かに上回る数字と言っても差し支えはない。

そこで本日は、わたしが行なっている、ROE(自己資本利益率)を改善するための7つの施策をご紹介する。

① ROE(自己資本利益率)を因数分解する

ROE(Return On Equity)は、日本語で自己資本利益率と訳され、企業が株主から預かったお金をいかに効率よく使って利益を上げているかを示す経営指標。

100年ほど前にアメリカの大手化学メーカーデュポン社が考案して以来、日本企業にも徐々に取り入れられてきた。

ROEが優れているのは、それを因数分解することで、企業の収益性と効率性を様々な側面から診断し、改善点を見つけることができるからだ。

デュポン社のモデルでは、ROEを「売上高純利益率」「総資産回転率」「財務レバレッジ」の3要素に分解する。

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「売上高純利益率」は、売上高から各種費用を引いて求めた利益の、売上高全体に対する割合、つまり企業の「収益性」を示す。これが高ければ高いほど、企業は少ない売上で高い利益を実現していることになるので、事業の収益性が高いと言える。
 
「総資産回転率」は、売上や収益を生み出すために自己資本をどれだけ効率的に活用しているか、つまり企業の「効率性」を示す。これが高ければ高いほど、企業は少ない総資産で大きな売上を実現していることになるので、資産利用の効率性が高いと言える。
 
「財務レバレッジ」は、事業の運営や拡大に必要な資金を得るために、負債をどれだけ活用しているか、つまり企業の「安全性」を示す。これが高ければ高いほど、企業は少ない自己資本で大きな総資産を実現していることになるので、事業投資の安全性が低いと言える。

②「収益性」を知る

収益性を示す「売上高純利益率」は当期純利益÷売上高で計算される。

「売上高-費用=当期純利益」なので、費用を削減することで当期純利益が、すなわち「売上高純利益率」が向上する。

費用を削減するために、大量生産で原価を抑える、単価の高い商品を販売する、中間業者を減らして商品を流通させる、利益に対する法人税を節税する、といった施策が考えられる。

③「効率性」を知る

効率性を示す「総資産回転率」は売上高÷総資産で計算される。

総資本回転率は売上債権回転率、棚卸資産回転率、仕入債務回転率に分解できるので、債権回収を早めたり、無駄な在庫を格安で売却したり、債務の支払いを遅らせたり、資産を増やさずに売上を増やすといった施策が考えられる。

また、売上高純利益率と逆相関の関係にあることが多く、つまり、売上高純利益率が上がれば総資本回転率が下がり、売上高純利益率が下がれば総資本回転率が上がるということ。この2つの指標を見れば、企業が薄利多売型のビジネスモデルなのか、それとも厚利少売型のビジネスモデルなのか、見分けることができる。

④「安全性」を知る

安全性を示す「財務レバレッジ」は総資産÷自己資本で計算される。

「総資産=自己資本+負債」なので、負債を増加させることで財務レバレッジが向上し、逆に負債を減少させることで財務の安全性が向上する。

原則として、事業の運営や拡大に必要な資金を調達できるだけの負債を活用しつつ、過剰な負債を抱えないようにすることで、財務レバレッジを低く抑えるのが理想。ROEを高めようとするあまり、債務超過に陥ってしまうのは本末転倒だ。

財務レバレッジを見ることで、投資家は企業の債務状況を正しく測定した上で、投資判断を下すことができる。

⑤ 数字を比較する

ROEは、目の前の数字だけ見てもそれがいいのかどうか分からない。高ROE企業という表面上の情報だけで投資を決めてはいけない。大事なのは数字だけではなく、「過去からの推移」、「同業他社との違い」、そして「項目間の割合の変化」を比較すること。

例えば、企業全体としてROEが過去数年、右肩上がりに伸びており、業界平均を超えているとする。この理由を深堀りするために、因数分解をすればよい。

単価の高い商品が大当たりして売上高純利益率が上がったからなのか、グローバルで在庫管理システムを導入して総資本回転率がよくなったのか、銀行から資金調達を毎年増やして財務レバレッジが高くなったのか、企業の施策と数字の関係性が見えてくる。

同じ業種の企業の中から1つ投資先を決めるときもROEの分析は有効だ。最もROEが高い企業の成功要因を深堀りするために、因数分解をして比較すれば良い。

圧倒的に売上高純利益率が低く、総資本回転率が高い企業があれば、それは典型的な薄利多売型のビジネスモデル。その企業がもしマーケットシェアNo.1なら、戦略と数字が一致している。財務レバレッジも高ければ、積極的に設備投資や企業買収によって、さらなるマーケットシェア拡大を狙っている勢いのある企業だと分かる。

このように、ROEは、因数分解してコツコツ数字を集めて比較した分だけ、企業の良し悪しや方向性が分かるようになる。

⑥ 改善策を提案する

ROEを分析すれば企業の問題点や成功要因が分かるので、改善策も自然と思い浮かぶ。それを経営陣に提案すればいいのだが、いくつか注意点がある。

現場感を尊重するROEあくまでも普遍的な経営分析のモデルに過ぎない。経営陣と数字について認識の違いがあった場合は補正にとても有効だ。一方で、経営方針の違いがあった場合は、現場を知り尽くしている経営者の判断が正しい場合が多い。改善策を実施したときにどんな方面にどんな影響が出るか、一番わかっているのは投資家ではなく経営者だ。

不平不満や増配要求だと捉えられないようにする

企業は投資家の金儲けのためだけに存在するのではない。消費者に商品価値を届けること、従業員に生活の安定を提供すること、そして社会的責任を果たすことも、企業の重要な役割だ。

ROEで理論武装して投資家にとっての経済的な正解を押し付けると、どこかでひずみが生じて、企業は持続可能な発展ができなくなる。長い目で見て、投資家自身にもマイナスとして跳ね返ってくる。

⑦ 対話を続ける

たとえ有効な提案であっても、経営陣に納得してもらい、それを実行してもらわない限り、絵に描いた餅だ。一度提案すれば経営陣はそれを理解してすぐさま実行すべきだと決して驕ってはならない。

何度も対話を続ける中で、互いの立場や見解を理解できるようになり、共闘する仲間だと認識され、それからようやく提案内容に耳を傾けてもらえるようになる。言葉も文化も違う外国人同士なので、なおさら時間がかかる根気強い作業だと心づもりすべきだ。

しかし、一度信頼関係を構築して改善策の効果が出始めたら後は早い。ROEを共通言語としたコミュニケーションが捗るようになり、企業の業績が成長し、その収益が結果として投資家へ多く還元されるようになる。

まとめ

以上が、平均で70%を超えるROE(自己資本利益率)を上げる秘訣だ。

先入観を捨てて1つ1つのデータと数字にどれだけ向き合えるか、そして海外の経営陣とどれだけ向き合えるかが、海外未公開株で稼げる人と稼げない人の分かれ目だ。

最後に、それぞれをもう一度確認しておこう。

① ROE(自己資本利益率)を因数分解する
②「収益性」を知る
③「効率性」を知る
④「安全性」を知る
⑤ 数字を比較する
⑥ 改善策を提案する
⑦ 対話を続ける

ROE(自己資本利益率)改善は、たった1つの施策で、大きな結果が出るものではない。ROE(自己資本利益率)を左右する要素は多数あり、その1つ1つを、ビジネス環境を踏まえながら、どれだけ根気よく改善していけるかにかかっている。

この積み重ねが全体として大きな差になるのだ。本日お伝えしたポイントは、その中でも大きく収益を左右するものなので、ぜひ覚えていただきたい。

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