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古典ハリウッド映画

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2023年1月の記事一覧

『魅せられて』

監督:マックス・オフュルス

ロバート・ライアンが物理的にデカい。さらにメイソンとの対峙シーンなどでは仰角で撮られるから威圧感が増す。流麗なカメラワークは健在で、流れるような人物の動きを動線とし、カメラが止まると構図が完成しているのが見事としか言えない。奥行きもちゃんとある。見ているだけで楽しかったけど、最後の方がよくわからなくなった。あんだけデカかったのに気づいたら死んでた。

『裏切りの街角』

監督:ロバート・シオドマク

入院した後、背もたれを上げて鏡の反射で見るシークエンス、ラストの扉など舞台装置を生かしたサスペンスが楽しいが、前半は少しもたつく感。

『その女を殺せ』

監督:リチャード・フライシャー

全編ずっと面白かった。冒頭、ネックレスが転がって階下に落ちる動きから一気にサスペンスが展開する。どんでん返しも主張しすぎてなくて、展開上は自然にすら感じる。狭い列車内において人々は、常にドアによって切り取られ、そこにサスペンスが生まれる。外を走る車を通じて室内を移動するデクパージュもスマート。並走してくる車なんてどう考えてもワクワクする。

『四十挺の拳銃』

監督:サミュエル・フラー

フラーの映画はいつも暴力と愛が同居している。『拾った女』では、殴り合った男女がすぐ後にキスを交わし、『パーク・ロウ』では、仲間で作り上げた印刷機が稼働した次の瞬間、爆竹が投げ込まれる。『四十挺の拳銃』では、グリフとジェシカは共に過剰と言ってもいいほどの暴力的な強風を耐え忍ぶことで愛を共有する。初めて二人が出会うシーンは、電報を打つグリフたちの横を猛烈な勢いでジェシカが通

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『ギルダ』

監督:チャールズ・ヴィダー

メロドラマ寄りかつリタ・ヘイワースのアイドル映画のようでもある。確かに、常に彼女は男たちの視線によって客体化され、時にはヘイズコードに抗うように手袋を外して見せたりする。