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古典ハリウッド映画

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2022年6月の記事一覧

『大いなる夜』

監督:ジョセフ・ロージー

父も息子もうっすらカッコつけてて嫌だった。息子の少年性の誇示も銃あるいは自棄になるの二択(黒人の子を傷つけるシーンはいいけど)で単調。冒頭の蝋燭の最後の火がいつ消えたのか分からないのはダメだと思う。のちのちフラッシュバックするのではあるが。この監督はドアの開け閉めにこだわりがあるようで、必ず人物たちが空間に切り取られてエンディング、ってのが多い。

『不審者』

監督:ジョセフ・ロージー

ゴーストタウンの家がボロ過ぎて笑える。風を入れるための構造みたいで可笑しい。正当防衛に見せかけた殺人を犯した主人公は警官に撃たれることで山から滑り落ち、スーザンはそれを冒頭の不審者としてではなく、なすすべもない主人公の姿を窓越しに見つめる。死んだ人の声は本当に気味が悪い。主人公たちの発想がそのまま映画のルールになってるような感じがして、後半の医者の件なんかはそんな察しが

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『紳士協定』

監督:エリア・カザン

閉められ続けてきた扉(ホテルマン、キャシーによって)が開かれる分かりやすいラスト。言葉ではなく行動なんてそんなこと分かってて、でもその場で発言できないから差別って続いてきたわけで、理想主義的すぎるような気がした。結果的に70年後の今、母親の言った世界なんて訪れていないのだし。セレステ・ホルム良かった!

『街の野獣』

監督:ジュールス・ダッシン

冒頭の写真の通りにはならず、船場にたどり着いたはいいものの2人はすれ違う。あのおばさんいい。彼に必要なのはあの人だったのかもしれない。

『失われた週末』

監督:ビリー・ワイルダー

ニューロティック映画の代表作。戦後の都会の繁栄の裏で苦しむ人の姿を描くことに意味があるのだろうか。後半なんかタルかった。こういう男ってモテるんだよな、不思議と。ロビーで電話するところとかウェルズみたいな画面の使い方してた。

『都会の女』

監督:F・W・ムルナウ

『サンライズ』の反対?都会から田舎へ。流麗な横移動に挟まれるクローズアップが良かった。父親を殴りに行くのを止める母親のショットとか。コインのショットとか即物的でしかないのに、それは人物のエモーションを代弁する。麦畑のシーンは登場人物たちの感情はさることながら、それを撮影する悦びにも満ち溢れているようだ。2人がかつて飛び越えた門をラストでは父親と共に越え、自ら閉めることで物

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