蟻が歩く台所

実家で寛げない奴の、夏の実家2選

1、栄華を迎える植物

家に着くまでの小道で笹の葉のトンネルをくぐる。伸び切った植木が車に当たってキィと鳴っている。

家に着いて車から降りた瞬間
雑草(おそらくドクダミ)に囲まれていて
その強烈な匂いがムッとくる。臭い。

草の葉についた水滴がズボンを濡らし
ついでにバッタが跳びはねる。
あぁ実家に帰ってきたわ、と思う。

家の一面は蔦に侵食され始めている。
3年後には、手に負えないことになっているかもしれない。

ヒョロヒョロと背を伸ばし続ける竹が
家に進路を向けている。
このままでは2階のベランダに突き刺さり
ひいては寝室の窓を開けられない状況に陥るかもしれない。


2、絶望的に真っ暗な夜

月明かりも通さない曇天の夜には
電気を消せば部屋が真っ暗になる。
周りには田畑しか無いからだ。

(スーパーホテルの完全遮光スクリーン、暗くてまじスゴいと思っていたが、同じくらい暗い)

寝室に向かうまでの道中で
電気を絶やしてはいけない。怖いから。

窓を開けてから体をベッドに横たえると、
扇風機が回る音と、薄い虫の声以外聞こえない。

暗いとかじゃない、視界がきかない。
黒の濃淡がない、黒い塗りつぶし。
目を閉じたほうが明るい気がする。

うわ最悪、トイレ行きたい、無理無理
えっっ?もう朝6時…



蝶々を見た者はすでに虚構世界


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