「文字への信仰心」が導いた私の人生

突然ですが、あなたは「文字で世界を変えられる」と思いますか?

何をいきなり大げさな、と思うかもしれません。

でも、本当にこれは大げさなのでしょうか?

(宗教チックな話ではありません。いや、捉えようによっては宗教っぽいかもしれない・・・)

昔から、文字が人の行動を変えてきた

戦時中の話は、もう生の声で聴くことも少なくなりました。

それでも「ぜいたくは敵だ」というスローガンは、今の若者もみんな知っています。

この言葉によって、当時の人は良くも悪くも、質素な生活を耐えしのぎました。

アメリカの元大統領エイブラハム・リンカーンの「人民の、人民による、人民のための政治」というのも有名な言葉です。

歴史上に残る名言・名スローガンだけではありません。

現代でも「いつもキレイに使ってくださりありがとうございます」という言葉を聞けば、みんながトイレの貼り紙を思い出すでしょう。

私たちの価値観や行動を変えるための文字は、日常のあらゆる場面に散りばめられています。

コピーライターが眼中になかった学生時代

元々幼いころから文字を書くのが好きで、小学生の頃には小説を書き始めていましたが、文字を書くことを職業にしたいと思ったことはありませんでした。

小説家や脚本家になることは、子どもながらに難しいとわかっていたからです。

ましてやコピーライターなんて、将来の夢の候補にも入ってきませんでした。

思えばあの頃は、コピーライターが何をする職業なのか、本質的にわかっていなかったのです。

使命を探していた広告代理店時代

大学を卒業し、新卒で入った会社で数年働いたのち、広告代理店へと転職しました。

その時も、コピーライターの真のミッションをわかっていたかというと、そうではありませんでした。

目の前のクライアントの利益を最大化するために、日々試行錯誤を繰り返すだけで精一杯。

もちろん、コピーライターとしての基礎を徹底的に叩き込んでもらったし、その時の経験に本当に感謝しています。

ただ、私個人の未熟さにより、まだここでは「何のために私はコピーを書くのか?」というと問いに答えを出せないままでした。

誹謗中傷で、文字の力を思い知る

使命を見つけられないままではありましたが、その後お世話になった広告代理店を退職し、フリーランスとして働き始めます。

自分に課せられたミッションを自問自答する日々でしたが、ある日突然、意外な場面で気づかされることになりました。

それはSNSでの誹謗中傷の存在です。

心ない言葉に悩み、自ら命を絶ってしまう人のニュースは、最近特に多く見受けられます。

改めて、文字には恐ろしいほどの力があると思い知らされたのです。

もちろん、使い方を間違えば鋭い刃になる一方で、文字には心を癒やしたり、励ましたりしてくれる力があることもよくわかっていました。

応援のメッセージ。気遣いの言葉。

そういった言葉に、私自身も幾度となく助けられてきました。

人を傷つける言葉と、人を前向きにさせる言葉。

どちらを使いたいかなんて明白です。

その時、自分に課せられた使命がわかりました。

コピーライターは、「人を支えるコトバ」をつくる職業だ

私は文字の力を信じています。

それを悪用する人もいることは事実ですが、正しく使えば、人の気持ちを支えることができる魔法になると思っています。

もちろん、私一人の力で影響を与えられる範囲は広くないかもしれません。

でも、自分の生み出す言葉が誰かの行動をポジティブな方向に変えるきっかけになるならば。

誰かの行動変容を通じて、この世界が少しでも良くなるならば。

コピーライターをやっている意味があるといえるでしょう。

「文字によって世界は変えられる」と信じて、人を動かす言葉をつくり続ける。

それが、私にとって大切なことです。

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