「一、十、百、千 せんばやし」【note創作大賞エッセイ部門】
「プロローグ」
「あの、喫茶店あるやん。あそこもう店閉めはるらしいわ」
大阪の母からLINEが届いた。混みあったホームで通勤電車を待っているときだった。昨年つまり2023年の5月、私は会社の東京支社に転勤した。東京での生活はまる1年を迎えた。その日は社内の会議の都合で、いつもより30分早い午前7時に起きた。まだ完全に目が覚めていない。眠たい。朝は弱い。瞼が重たい。
私が生まれ育ったのは大阪。と言っても梅田や難波ではない。多くの人は知らない思うが、千林。「せんばやし」と