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2023年11月の記事一覧

最近読んだ本の話 vol.119

 「最近読んだ本の話」の第119弾です。寒くなってきました。あっという間に秋が終わってもう冬?今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、沢木 耕太郎『夢の町本通り:ブック・エッセイ』  沢木さんが30年あまりの間に書かれた本にまつわるエッセイが集められた本です。読んでいると、30年くらい前に書かれたエッセイも最近書かれたエッセイも間違いなく沢木さんで、思考することは年月が経ってもそう変わらないのだと感じました。私もきっと考えることはそう変わらなくて、たとえ肉体は衰えてい

最近読んだ本の話 vol.118

 「最近読んだ本の話」の第118弾です。雨が降って涼しくなって、いよいよ秋らしくなってきました。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、上田 岳弘『最愛の』  主人公の久島は30代の男性ですが、中学生から大学生までの間、望未という同級生と文通をしていました。久島は今もそのことが頭を離れず、その文通のことを出会った人に話します。レンタルオフィスで知り合った坂城に話すと、誰にも見せない自分だけの文章を書くことを勧められます。  この小説自体が久島が書いた小説なのかどうなの

最近読んだ本の話 vol.117

 「最近読んだ本の話」の第117弾です。もう11月になりました。そろそろ紅葉がはじまりますね。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。 1、岩井 圭也『楽園の犬』  1940年、太平洋戦争勃発直前の南洋サイパンが物語の舞台です。主人公の麻田は横浜で英語教師をしていましたが、喘息の症状がひどくなり退職して、南洋庁サイパン支庁庶務係の職を得て、サイパンに赴任します。サイパンには多くのスパイがいて、麻田はそのスパイたちから日本の情報が盗まれるのを防ぐ役割のスパイ活動を命じられてい