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参加しました! -読書メーター レビュアー大賞-

読書メーターで、8冊の課題図書について「読みたい!」と思わせたベストレビュアーを選出する第6回 レビュアー大賞、開催されています。

8冊の中に、既に読み終わっていた本や読みたかった本があったので、せっかくだから目指せ「全読賞」! 
久しぶりに、どんなことを書いたら、この本を読みたくなるだろう?と、じっくり考えて書いたレビューもあり、なかなか面白いレビュー体験でした。

1.そして、バトンは渡された / 瀬尾まいこ

2019年本屋大賞の受賞作品。家族の形って様々だし、本当の幸せっていうのも一般論だけじゃ語れない。大事なものは何か?を考え直すきっかけになるような作品。

昔から私は “子供は親を選べない” という意識を持っていたし、その意識に縛られてもいた。この小説は、その琴線に触れる内容でもあり、何があっても親から幸せを与えられる素敵な話でもある。私は、森宮さんがとても素敵だと思うし、最後の父親が森宮さんだったら、幸せだと思う。そんな素敵な “親” である森宮さんに、お話の中ではあるけれど出会うことが出来て、この本に出会えて本当に良かった。大事なのは本当の親と暮らせるかどうかだけではない、自分を大切にしてくれる親と暮らせるかどうかだ。


2.かがみの孤城 / 辻村深月

辻村さんは、一時期、ハマっていて大半の作品を読んでいる作家さん。この本にも、辻村さんらしいどんでん返しが待っている・・・。

個性溢れるキャラクターが魅力的な作品。誰しも学校に行きたくないときがある。自分の辛さに引き込まれている間は、その辛さを一緒に誰かと分けあうことは、なかなか難しい。でも、ふとした何かがあれば、支えがあれば、分けあえるのかもしれない。支え合えるのかもしれない。不思議な世界に引き込まれながら、1人1人の個性と向き合い、知り合っていけるストーリー。


3.春夏秋冬代行者 春の舞 / 暁佳奈

普段あまり読まないジャンルの本で、読むのもレビューを書くのもなかなか苦戦。作品の世界観を感じられそうなレビューを目指してみた。

「春」「夏」「秋」「冬」、様々な表情を見せてくれる季節の一つが、突然、訪れなくなったらどうなってしまうのだろう。当たり前のようにやってくる季節を巡らせるために、大いなる犠牲を払っている誰かが存在するとしたら…。 - 大いなる力を持つ者たちと彼女らを支える者たちが、相互に支え、愛しみ、守り抜く、その繋がりの強さは時に衝撃的でもある。春は柔らかく、その底無しの優しさが受け止めるもののスケールの広さは、周囲への影響力も甚大だった。改めて、春夏秋冬という季節を、じっくり味わってみたくなる作品である。


4.きみはだれかのどうでもいい人 / 伊藤朱里

表紙がすごいなぁ・・・と気になっていたのですが、実際読んでみると、職場の複雑な人間関係を、複数目線で追っかけるという構成が面白かった。誰かが職場を辞めるのって、理由はそんなには単純じゃないよね、きっと大抵は。

職場の人間関係って、どうしてこんなにも複雑になるんだろうか。なぜ彼女が辞めてしまったかを4人の女性の目線で追いかけるうちに、こんなにも違う4人が同じ職場で淡々と仕事をこなしていくことこそ、それはそれで凄いんじゃないかと思えてきた。辞めてしまった彼女ほどに色々問題を抱えていなくても、職場との関係では相性やタイミングというものも外せない要素になっていると思う。職場で働く様々な女性の目線になって人間関係を眺め直す、面白いストーリーだった。


5.ある男 / 平野 啓一郎

私の夫は、一体誰だったの?という、とてつもない不思議から始まる物語で、「愛し直す」ってどういうことだろう。それってできるのかなぁと、なかなか深い想いが去来した作品。

愛した人の過去が赤の他人のものだと分かったとき、私なら気持ちにどう決着をつけるだろう。美涼のように強く、また愛し直せばいい、と言えるだろうか。結婚12年目の城戸が妻に投げかけるやり直しの提案も、愛し直したい、ということなんだろう。そもそも「愛し直す」というのは、実際のところ可能なんだろうか。相当な強者にしかできないんじゃないだろうか。何をもって「愛し直せた」と言えるのだろう。読み終えて、更に様々な想いが広がる一冊。


6.明日の世界が君に優しくありますように / 汐見夏衛

この本も普段あまり手にしないジャンルながら、この機会に読めて良かったなーと思う思春期の学生たちのストーリー。なかなか周囲の言葉や優しさを受け入れられない、そんな時期ってやっぱりあるよね。

どうして彼女は心を閉じてしまったのだろう。貴女に差し伸べられた手が、優しい心がすぐ傍にあるのに、どうしてその優しさを拒絶してしまうんだろう。でも、私にも彼女と同じように閉ざしている心があるかもしれない。彼女が救い出そうとした、あの彼にだって、閉ざしてしまう心があったのだから。そして、一度閉じてしまった心を開くのは簡単じゃない。ゆっくりと少しずつ…優しさに守られながら開かれていく心を応援しながら、彼女と一緒にちょっぴり泣いて、最後は笑って元気になれる一冊。


7.三千円の使いかた / 原田ひ香

自分にとって大事なものは何か?という問いに、明確な答えを持つことが、あなたらしいお金の使い方につながる、そんなことを伝えてくれているのかなーと思った一冊。色んな世代の目線から描かれていて、サクッと気楽に読める。

「お金」の本と思いきや、あなたの人生で重要なことは何か、あなたの生き方はこのままでいいか、といった問いまで、投げかけてくるようなストーリー。孫、祖母、嫁と、世代が変わるごとに、お金との付き合い方も、人生の悩み方もくるくると変わっていく。人は人生で様々なステージを通り過ぎていくが、それぞれのステージで自分らしいジャッジをしたらいいんじゃないか、と。そんなことを語りかけている気がする。お金との付き合いかたを、そして今をいかに生きるかを、じっくり見直したくなる。


8.未来 / 湊かなえ

重たいテーマを抱き、ストーリーもなかなか読み手に苦しくて、読み終わったときに「ふぅっ」となった一冊。でも目をつぶってばかりではいけなくて、大人の一人として、見るべき現実かもしれない。

家庭には、それぞれ事情というものがある。子どもにとって、その事情があまりに耐え兼ねるものでも、一般的に到底許されない事情でも、家庭の外から救える機会は簡単にはない。むしろ他人の家庭に勝手に踏め込みすぎてはいけないという常識が外からの介入を遮断する。この本で苦しんでいる家族の事情は、確実な周囲の助けが切望される重いケースだけれど、ここまででなくても苦しんでいる家庭は沢山あるはずである。未来というタイトルには、この大きな課題に、少しずつでも対応できる社会に変わっていく希望も込められているかも知れない。


個性溢れる8冊で、読むのもレビューを書くのも楽しめました!
これからも、読書とレビューを楽しみたい。


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