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人間

今,又吉直樹さんの「人間」という本を読んでいる。
きっかけはYouTube。
又吉直樹さんのYouTubeチャンネル「渦UZU」は,元々チャンネル登録をしていて,最近もう一度見始めた。
特に「人間」という本が発売されるのにあたって,始まった企画では又吉さんが体験した「人間らしさ」について何パターンも淡々と語っている動画がある。その内容の面白さに惹かれ,本を購入した。
今ちょうど160ページ。

読んでいる時,lineの通知音がなった。
開くと,大学一年生の時に少しだけ関わりのあった男の子からだった。
メッセージではなく,line漫画のおすすめ通知だった。
なぜこんなものが送られてくるのか。
不思議に思ったが,きっと身近な人に送るのは気が引けるし,もう既にブッロクされているかもしれないような人達や,送っても何の害ももたらさない人たちを選んだと思うと,面白いなと思った。
少し気になり,おおすすめ漫画を送ると,どんな特権があるのか調べると,12時間無料で読めるというものだった。

この子は確か,四国から上京してきていた。
私の大学は,神戸だったので「香川」「徳島」「広島」など四国や,中国地方出身の子たちが多かった。
私の友達で,徳島出身の子が言っていたことを思い出した。

「みんな都会に憧れがあるけん。先生も島から出ろって言うし…広い世界みてこいってさ。」
「実際,都会に感じる?面白い?」
「そらな。楽しいよ。徳島は大学も少ないし,田舎やし。」

とちょっと雰囲気は徳島から出てきたことを誇らしげに言っていた子は,徳島のご当地キャラクターのキーホルダーを,常にカバンにつけている子だった。地元に愛がある素敵な子なんだと私は認識していた。

私は,自分の住んでいる世界が他の子からすると,広い世界であり,概念を覆されるような場所になるのかと思うと,今までに味わったことのない感覚になった。

大学一年生は,コロナが始まる前だった。この男の子とは共通科目で一緒のクラスだった。
「自己啓発」を目的としたその授業は,就職活動を成功させるために今から自分を知ろう,他者と意見を交換し新たな視点を持とう。企業のことを知り,働くとは何かなど。「いかにも」な授業だった。

そんな授業を受けていた,私は就職活動をせず,「ヨガ」を教えている。
この頃の私は,こんなことを想像もしていなかった。

この子たちも,いまは何をしているのだろう。

島を出て,広い世界は見れたのだろうか。
島をでなかったら,見なくていいものも見てしまったこともあったのではないだろうか。

又吉さんは,「人間の愚かな部分こそが人間らしさであり,面白い」と伝えていた。最近の世の中は,人間の愚かな部分を探しては,そこをつつくような世間である。
私にとって,この又吉さんの言葉は
そんな世の中に向かって,人間の愚かな部分について
「ええやん,それで。」と言っているような
そんな単純なメッセージに聞こえる。

LINE漫画の続きが読みたくなって,送ったメッセージも,ご当地キーホルダーをつけていた同級生もどことなく人間の愚かさのようなものを持っているようにふと思えた。

人間って面白い。


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