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映画「かぐや姫の物語」

金曜ロードショーでかぐや姫の物語を見る。もちろん映画館でも見た。
ものの10分くらいで静かに、だけど号泣していた。

赤ちゃんのかぐや姫が年老いた翁と嫗の愛情に包まれて成長していく姿、天真爛漫な笑顔に付随するプリっとしたお尻の愛らしさ。それを見つめる翁と嫗の優しい表情に涙が止まらなかった。

子どもが成長する力って、何人たりとも抗えない。完敗だと思わされる。

ロードショーの頃の私はたぶん37歳とか。アラフォーの未婚。結婚する予定も相手もいない。これからも結婚するつもりは特にない。別にそれでも良いと思っていた。仕事も家族も友達もいるし、充実しすぎるくらい充実している。

しかし、あの赤ちゃんが育つ圧倒的な多幸感を見せられると、自分は良いのだが、父や母に孫の姿を見せてあげられなかったことが、感動と共に私の心を刺してくる。

産まない選択もあると巷でよく聞くが、私は選択したつもりもない。なんとなくそうなっただけだ。世の中の子どもを持たない女性や孫のいない人たちは、どうやって色んなことに折り合いをつけているのだろうか。まぁ、きっと折り合いなんてついていないだろうから、この道を進んでいくしかないと知ってはいるんだけど、たまーに気持ちが弱くなる時があるな。愚痴かよ。。

そして、本題。竹取物語は『女の抑圧』の物語なんだなぁと改めて感じた。きっと古来から女が感じてきた生きづらさがギュッと詰め込まれている感じがする。もしかすると女の人が書いた物語かもしれない。書かなかったとしても、寝物語的に子どもに聞かせていた話なのかも。そう考えると、いつの時代も同じような感性の人は必ずいると勇気付けられる。

そして、同じような感性の人とは、女性だけではなく男性でもいるということをこの作品が証明してくれている。

監督の高畑勲氏は男性。監督はきっと人をわかりたいという気持ちが強かった人ではないだろうか? だからこそ、人の半分以上をしめる女性の気持ちについて知性を持って寄り添い、思考し続けた人だということが画面のあちらこちらから溢れ出ている気がする。

人間力なんて陳腐な言葉は使いたくないけれど、人としての深みが恐ろしいほどだ。そりゃ宮崎駿監督も告別式で子どもみたいに泣くわな。
こんな映画を作ってくれたことに感謝しかない。

そして何より高畑勲監督の人物描写に舌を巻く。特に翁の描写がうちのオトンとそっくりで笑えるくらいであった。娘のことがLOVEすぎて周りのことが目に入らず空回りして、なんなら娘を窮地に追い込む。ハッキリ理由を告げてもトンチンカンな答えをし、さらに空気が読めずに発言して娘を激怒させる。その隣で母親が右往左往していると。。父娘あるある。

公達たちの描写についても現代にいすぎて笑けたな。

さて、最後にひと言。テーマ曲を二階堂和美さんに歌わせるのは反則だわ。絶対泣くよ。持ってかれるよ。

必ずまた会える 命の記憶で

アカン。無理。。

#映画 #コラム #かぐや姫の物語

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