見出し画像

映画「軍中楽園」

こ……これは、イーサン・ルアンが出ているからと期待しすぎた感がある。このチラシもいい感じだったんだけどなー。しかし、従軍慰安婦をテーマとして扱うのは簡単なことではないと再認識させられた。

1969年、中国と台湾が対立していた時代、主人公のルオ・パオタイ(イーサン・ルアン)は、海兵隊のエリート部隊に招集されるが、泳ぐことができず、831部隊に移動となった。そこで命じられたのは「軍中楽園」という娼館の管理であった。配属早々、ルオの眼の前で殴る蹴るの喧嘩を始める娼館の女たち。それを冷めた目で見つめるニーニーという娼婦。ルオはニーニーの美しく気高い姿に目を奪われる。

軍中楽園の娼婦たちからオモチャにされるルオ。しかし、ルオには地元に結婚を誓いあった恋人がおり、軍隊の役目を終えたら恋人と結婚しようと純潔を守っていた。(831部隊では娼婦を抱いてナンボの世界だそうです)

そんな中、ふとしたきっかけからニーニーと友情を育んでいくルオ。それと同時に海兵隊時代の師であった大陸出身の老兵ラオジャともつながりを深めていく。ラオジャは娼婦である小悪魔的なアジャオとの結婚を真剣に考え始めたいた。

ストーリーはこういった感じです。なんというか娼婦の人たちがあっけらかんとしていて、また娼館もなんだか明るい感じで、実際はこんな明るさを伴う場所ではなかったんじゃないか?ということばかりが気にかかってくるのです。あえて悲惨な感じには描いてないんだろうけど…。

この老兵ラオジャは大陸出身で、少年の頃、軍に強制連行をされて現在に至るのです。故郷に帰ることはもちろん連絡手段も絶たれている状況。心の拠り所が娼婦のアジャオだけで、いわゆる「男の純情」が突っ走ってしまい惨事が起こるのです。そのあたりも、身体も心も殺されている女側から見ると「おいおい、おっさんよ…」としか思えないのです。(おっさん側の苦悩もわかるけど中途半端なのよね)

自分の身体を他人の自由されることの悲しみ・つらさ・痛みなんかは、そんじゃそこらでは描ききれるものではなく、映画の中でもそのことに触れるセリフはあったけれど、あまりにありきたりなセリフで、娼婦の人の心の叫びみたいな言葉はもっと他にあったのではないだろうか?私はそれを聞きたかった。

そして、主人公のルオの行動もなんというか中途半端で「?」となってくるし、影がある美女ニーニーについても何ら共感できることもなく終わっていった感じでした。主人公なのにね…。

というわけで結局、誰の感情もダイレクトに伝わってこず、何が伝えたかったのか、イマイチわからず仕舞いでした。「軍中楽園」という娼館を扱うのであれば、誰か一人にきちんとフォーカスをあてて、えぐり出すほどに描ききってほしかったな。時折ポカーンとなっていたわ。

そんなこんなで、私としては同監督の作品で、イーサン・ルアンが主演した映画「モンガに散る」をオススメしたいです。いやぁもう青春映画の決定版と言っても過言じゃないんでしょうか!!(急に興奮)いい男もいっぱい出てきます。モンガという土地で生まれて生きていくということ(ちなみにお家はヤクザね)、高校生という不安定な存在の自分、友情、そして恋することの切なさなど、いろんなことが内包されている映画です。

こっちの写真も最高なり!!!

こんな熱量のある映画、最近見てないなー。同じ監督なのにどうしてこの熱量が出ないのかしらね…。俳優みんないい顔してる。

#映画 #コラム #軍中楽園 #0531 #028





いいなと思ったら応援しよう!