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【#016】映画感想回『プラダを着た悪魔』

初の試みです。映画レビュー。

普段なかなか映画を観る時間が確保出来なくなった。
と言っても昔からそこまで映画をたくさん見る人間ではなかったけど。。
20代の頃、教養を深めたいと思った時期にたくさん観た時期があった。

映画の面白さというのは色々な切り口があると思う。
俳優さんが好きだったり、脚本が好きだったり、取り上げているテーマそのものが面白かったり。
自分の場合は同じ映画を観ても多様な解釈が出来るというところが一番好きだったりする。

今回『プラダを着た悪魔』を観たのは、たまたまYouTubeのオススメに解説動画が出てきて気になったという、本当にただそれだけの理由だったけど、色々今の自分にも重ね合わせるところがあったので感想を綴っておきます。

※ネタバレを含みますので鑑賞前の方はご注意ください。


1.仕事に対する向き合い方

まず仕事に対する向き合い方。
たぶんこの映画で一番考えるテーマだと思う。

主人公のアンドレアがランウェイの面接を受ける。
(「御社のこと全く知りませんが、求人が出ていたので来ました」という感じだと思うが実際にはそのシチュエーションはなかなか考えづらい。)
そもそも将来したいことがあって、そのステップとしてこの仕事を選んだアンディ。いわゆる腰掛けってやつ。

多分そういう風に思って働いている人って世の中たくさんいる。
さらにそれはその人の常態的なスタンスではなくフェーズとして現れるような気もしている。
ランウェイで働く人々のことを”コツコツ”と呼ぶところに、「こんな仕事に全力出すなんて」と、小馬鹿にしている様子が見て取れる。

かく言う自分自身のキャリアでもそのフェーズがあった。
公務員を辞めて次に入った建築設計事務所。実務を学びたい、それを活かして次の仕事にいきたい、と思っていた自分は、設計事務所を少なからず腰掛けだと思っていた。
けど、その気持ちは絶対に周囲にバレる。
となると思ったような成果も上がらない、さらに自分自身のスキル向上にもならない。結果としてただ時間を浪費して給料をもらうだけ。

どうせ働くなら腰掛けだろうとなんだろうと、その時その時で全力を出す。真剣に取り組む。自分にも当時そのように叱ってくれる先輩がいたし、映画を観て改めて思ったところでもあった。

2.職業そのものに対する捉え方

作中でナイジェルがアンディに「君は努力をしていない」「甘ったれるな」と叱責する場面がある。

腰掛けだと思っていたアンディも、気持ちを切り替えてプライベートの時間も費やし、それなりに必死にやってきた中での一つの失敗をもとに生まれたシーン。
頑張りを認めて欲しいというだけの気持ちでナイジェルのところに行ったらそのように返されたのだから泣きっ面に蜂状態。

実社会でもよくあるこのシーン。
この場面で腐るか腐らない、試される。

自分だったらどっちに転ぶだろう、と想像した。
そもそも馴染むつもりもない会社に、それでも自分の時間を費やし、それなりに頑張ったのに認めてもらえない。
自分だったら腐ってしまいそうな気がした。

けれどアンディはそれでも折れずにナイジェルに服を選んで欲しいと頼む。
腰掛けから本気に変わった瞬間だったと思う。
これまで馬鹿にしてきた”コツコツ”たちと同じファッションに身を包むことで、自分を変えようとすると同時に、ファッション誌の編集という職業に対するリスペクトも芽生えた瞬間のように感じた。

そこからのアンディの成長速度は一気に上がる。

3.自分自身の生き方

第二アシスタントとしてこれまで働いてきたアンディだが、ランウェイへのリスペクトを持ってからはメキメキ頭角を表し、第一アシスタントの不運も重なって、パリコレに付いていく権利を得る。

アンディは第一アシスタントのエミリーがずっとパリに憧れを持っていたことをよく知っていた。作中でもそれを感じさせるシーンは随所に出てくる。
アンディは最初断ったが、最終的に自分が行くことを決断する。
その決断をミランダに「あなたが付いてきて」と言われたからだとしてきたが、
ミランダ本人には「あなたが決めたこと」だと言われる。

自分がパリに行くことをエミリーに伝えるときのアンディも、後ろめたさはありながらも、ワクワクしている様子が描かれていたと感じた。

そう、自分自身が決めたこと。
仮にそれが誰かの一言から始まったことだとしても、いつだって決断して動くのは自分だ。

最終局面でも、これまで絶対に出ていたミランダからの着信を無視して携帯を噴水に投げ込む、というシーンがある。そしてそのまま退職する。
ナイジェルに叱責された時に辞めるのと、一度全力で取り組んでみること・きちんとリスペクトを持つことを経験した後に辞めるのとでは雲泥の差がある。

全力で取り組み結果も出した、けど自分はここにいるべきではない、というのを自分で決断した。
目標の1年には満たなかったけど、この経験を通じて得たものは彼女にとってかけがえのないものになっている。



以上、感想ベースのレビューでした。
まだの方は是非観てみてください。
アンディ、ナイジェル、ミランダ、様々な立場での仕事の捉え方があって、どんなフェーズで働いている人にとっても、自分と照らし合わせて考えてしまう映画だと思います。

最終的な疑問として残ったのは『悪魔』は誰なのか。
順当にいけばミランダなんだろうけど、彼女は彼女なりの正義で働いている。これまで犠牲にしているものもたくさんある。
その疑問も考えながら、落ち着いたらまた観てみたいと思います。

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